セッション情報 ワークショップ11(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

下部消化管疾患に対する拡大内視鏡の最前線

タイトル 内W11-8:

大腸腫瘍のpit pattern診断とNBI拡大観察のすみ分け

演者 中山 奈那(広島大・内視鏡診療科)
共同演者 田中 信治(広島大・内視鏡診療科), 茶山 一彰(広島大・消化器・代謝内科)
抄録 【背景】大腸腫瘍のNBI拡大観察所見広島分類 (Kanao H, Tanaka S, et al. GIE 2009)は,surface (S) patternとvascular (V) patternの総合評価分類であり,大腸腫瘍の質的診断に有用であることを報告してきた。【目的】NBI拡大所見における病型別のS pattern/V patternと組織型・深達度との関係を検討し,従来の色素を用いた拡大観察とのすみ分けを考察すること。【対象と方法】10mm以上の大腸病変497病変(腺腫, 早期癌)を対象に,病型別の1) S pattern,2) V patternと組織型・深達度との関係を検討した。S patternはregular,irregular,unclear,absentに分類し,V patternはDense,Honeycomb,Caliber irregularity,Cork screw,Shaggy,Heterogeneity,Avascular±Fragmentaryに分類した。【結果】1) Polypoid type/LST-Gは,腺腫でregularがそれぞれ83.8%,74.6%と多く, M~SM-sではirregularが56.4%,61.3%と高かった。いずれの病型でもSM-dではabsentの割合が高かったが,Polypoid type/LST-Gではirregularも37.5%認めた。LST-NGは,腺腫でもregularは46.3%と半数以下で,またPolypoid type/LST-Gに比べて腺腫~SM-sでunclearを示す症例がやや多かった。2) 各病型で腺腫に多く認めたV patternは,Polypoid typeはDense 48.6%,LST-GはDense 50.8%,Cork screw 44.4%,LST-NGはHoneycomb 58.2%であった。Polypoid type/LST-Gでは,腺腫においてAvascular±Fragmentaryは1例も認めなかったが,LST-NGでは9.0%に認め,またHeterogeneity 16.4%と他の病型よりやや多かった。どの病型においてもSM-dはAvascular±Fracmentaryを半数以上に認めた。【結語】Polypoid typeとLST-GではS pattern,V patternともに類似した所見を呈していた。LST-NGは,腺腫であってもS pattern,V patternともに所見が多彩で,S patternが不明瞭であったり,V patternのみで観察すると評価が困難であるため,NBI拡大観察所見のみでなく色素拡大観察によるpit pattern診断も併用する必要がある。
索引用語 大腸腫瘍, NBI