セッション情報 ワークショップ11(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

下部消化管疾患に対する拡大内視鏡の最前線

タイトル 消W11-9追1:

短時間の講義後に得られた大腸腫瘍・非腫瘍の鑑別能は、その後維持されるのか?

演者 東 玲治(広島市民病院・内科DELIMITER岡山大大学院・消化器・肝臓内科学)
共同演者 浦岡 俊夫(慶應義塾大・腫瘍センター低侵襲療法研究開発部門), 水野 元夫(広島市民病院・内科)
抄録 【目的】NBIと拡大観察未経験の消化器内科医(一般消内医)は、短時間の講義によって熟練医と同等のNBIによる大腸腫瘍・非腫瘍の鑑別診断能を習得できる可能性があることを明らかにしたが(Higashi R, et al. GIE 2010)、習得した診断能がその後維持されるか否かを今回の検討目的とした。【方法】大腸内視鏡検査時に発見された5mm以下の病変に対して、前向きに通常、NBI(非拡大, 拡大)、インジゴカルミン撒布下(非拡大, 拡大)内視鏡観察・撮影後、一般消内医4人が無作為に提示した各病変の鑑別診断を専門医による短時間の講義前後で行った。2年後に再度同様の鑑別診断を同じ4人(α群:専門医による内視鏡カンファレンスがないが拡大内視鏡を用いてNBIとPit診断を自己学習した2人、β群:講義後大腸内視鏡検査未施行もカンファレンスには毎週参加した2人)が行い、各群での正診率と診断の一致率(κ値)を受講直後と2年後で比較検討した。NBIおよびPit診断には、佐野および工藤分類を各々用い、内視鏡的摘除による病理診断をgold standardとした。【成績】37症例・44病変(腺腫27, 過形成性ポリープ17)の計220枚の画像が得られた。α群の受講2年後の正診率は、通常、NBI拡大と色素非拡大で有意な低下はなかったが(直後vs2年後;通常75%vs68%,p=0.34,NBI拡大92%vs88%,p=0.39,色素非拡大75%vs68%,p=0.34)、κ値は全modalityで低下した。β群の受講2年後の正診率は、全modalityで有意な低下はなく(直後vs2年後;通常72%vs72%,p=1,NBI非拡大72%vs75%,p=0.84,NBI拡大89%vs93%,p=0.34,色素非拡大76%vs67%,p=0.28,色素拡大78%vs75%,p=0.7)、κ値は通常,NBI非拡大とNBI拡大で上昇した。【結論】短時間の講義により習得した一般消内医のNBI拡大の診断能は2年後も維持されていた。また、内視鏡診断能の維持には、専門医によるカンファレンスの必要性が示唆された。
索引用語 内視鏡診断能, NBI拡大