セッション情報 ワークショップ11(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

下部消化管疾患に対する拡大内視鏡の最前線

タイトル 内W11-10追2:

大腸腫瘍性病変におけるNBI診断の一致性の検討

演者 村元 喬(国立がん研究センター東病院・内視鏡/消化管内科)
共同演者 池松 弘朗(国立がん研究センター東病院・内視鏡/消化管内科), 金子 和弘(国立がん研究センター東病院・内視鏡/消化管内科)
抄録 【背景】大腸病変の診断に対するNBIの有効性は明らかになってきた一方で、分類が多様である問題点が残されている。またNBIの所見に関してexpert・non-expertの一致性は明らかでない。【目的】観察者間の診断一致性を検討、その特徴を明らかにする。【対象と方法】大腸病変30例(Adenoma 10例、M、SM1 10例、SM2-3 10例)のNBI拡大像を提示し、52名の内視鏡医にCapillary pattern (CP)、昭和分類、広島分類をそれぞれ読影してもらいexpertを基準としκ値を算出した。読影者は、大腸内視鏡検査(CF)経験数、500件未満13名(初心者)、501-5000件17名(中級者)、5001件以上22名(上級者)に分けて評価した。またNBI所見から量的診断を予想し正診率を算出した。【成績】読影者の使用分類の内訳はCP 42名、昭和分類6名、広島分類3名であった。全体のκ値は0.462で、初心者はκ=0.340、中級者はκ=0.464、上級者はκ=0.462であった。CP、昭和分類、広島分類の全体の一致率はそれぞれκ=0.464、 0.468、0.359であった。経験数別ではCPで初心者、中級者、上級者:κ=0.340、0.464、0.462。昭和分類でκ=0.400、0.527、0.465。広島分類でκ=0.236、0.392、0.361であった。普段CPを使用している42名での一致率はκ= 0.465、普段使用していない10名の一致率はκ=0.396であった。量的診断の正診率は、平均61.8%(46.7-76.7%)であった。病変別に見てみると75%以上の正診率の病変は14病変(47%)であり、25%以下の正診率の病変は3病変(10%)であった。【結論】CF経験数の少ない初心者は、それ以上の経験を有する中級者・上級者と比較してκ値に有意差はないが低い傾向にあり、ある程度の経験で一致性の向上が示唆され、どの分類を用いても同じ傾向にあった。NBIで量的診断できる病変とできない病変が存在することが明らかになり、今後病変別での検討が必要である可能性が示唆された。
索引用語 NBI, 大腸腫瘍