セッション情報 ワークショップ11(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

下部消化管疾患に対する拡大内視鏡の最前線

タイトル 内W11-11追3:

大腸腫瘍性病変の鑑別診断におけるインジゴ・カルミン撒布下拡大観察とNBI下拡大観察との前向き非無作為化クロスオーバー比較試験 ~拡大内視鏡観察併用での病理診断省略(DISCARD-ME)の実践にあたって~

演者 花房 正雄(大阪府立成人病センター・消化管内科)
共同演者 竹内 洋司(大阪府立成人病センター・消化管内科), 飯石 浩康(大阪府立成人病センター・消化管内科)
抄録 【背景】狭帯域光観察(NBI)は拡大内視鏡観察(ME)の併用がなくても腫瘍と非腫瘍との鑑別ができ、10mm未満の病変に対しては病理診断の省略が可能(DISCARD trial, Lancet Oncology 2009)となる。しかしMEの併用なしでは時に癌と非癌との鑑別が困難な場合もあり、実際にはすべての病変にDISCARDを実践できるとは限らないと考える。そこでMEを併用したoptical biopsyにより癌と非癌との鑑別が可能となればDISCARDが実現(DISCARD-ME)できると思われるが、どの観察下でMEを併用するかが問題となる。
【目的】従来のインジゴ・カルミン撒布下でのME(IC-ME)および新しい画像強調観察であるNBI下でのME(NBI-ME)を用いた際の、大腸腫瘍性病変に対する鑑別診断能を比較し、DISCARD-MEで用いるべき観察法を選択する。
【方法】6mm以上の大腸表在型腫瘍を対象として、任意の順でIC-MEおよびNBI-MEの両法で観察し、癌に対する鑑別診断能を前向きに比較した。IC-MEではV型pit pattern(工藤・鶴田分類)を疑うものを、NBI-MEではVascular patternもしくはSurface patternの不整(佐野分類CP Type III/広島分類C type)があるものを癌と診断した。検査は6ヶ月以上両観察法の経験がある7人の医師が担当した。
【結果】99病変(68症例)が登録され、42病変がIC-ME→NBI-ME、57病変がNBI-ME→IC-MEの順で観察された。対象は年齢中央値(範囲);65(35-84)才、男:女;40:28、腫瘍径中央値(範囲);10(5-60)mmであった。病理診断が得られなかった7病変を除外し92病変で検討を行った。IC-MEの癌に対する感度[95%信頼区間]は46[26,67]%、特異度100[93,100]%であり、NBI-MEの癌に対する感度60[39,79]%、特異度98[91,100]%であった。
【結語】今回の鑑別診断能の検討ではNBI-MEはIC-MEに比較して高い感度を示した。NBI-MEで観察したほうがMEを併用した病理診断の省略(DISCARD-ME)に貢献する可能性がある。
索引用語 NBI, 拡大内視鏡