セッション情報 ワークショップ12(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

肝癌局所制御の標準化

タイトル W12-基調講演1:

肝癌局所療法における根治性の定義とその根拠

演者 左近 賢人(西宮市立中央病院・外科)
共同演者
抄録 肝細胞癌(HCC)は肝切除や十分熱凝固された組織に再発する訳はないので、局所再発は「局所」をどう定義するかが問題である。HCCは血行性転移であることから、腫瘍血液が直接流入する非癌部肝組織(腫瘍血流ドレナージ領域)は他の部位に比べて肝内転移(local IM)が存在する可能性が高い。一方、肝切除を含めた局所療法では多中心性発癌(MC)や末梢血中の癌細胞(CTC)による全肝に及ぶ転移(systemic IM)を制御することは不可能である(図)。ドレナージ領域は肝動脈造影下CT(CTHA)により同定可能であり、理論的にはこの領域を完全に切除、あるいは熱凝固することで局所の根治性が得られることになる。【方法と結果】肝切除67例の検討ではその形状は個々の症例で異なり、腫瘍近傍のmarginal型(50例), 門脈分枝に流入し広範囲にわたるportal vein型(12例), 腫瘍血流の乏しいhypovascular型(5例)に大別された。ドレナージ領域の完全切除には個別化肝切除が必要で、marginal型では部分切除(37/50)が、portal vein型では系統的切除(8/12)が多く施行された。部分切除後の区域内再発は3/31例のみでその2例は後期再発であった。術後再発の個数は少数(4個以内)と多数(8個以上と肝外)の2峰性に別れ、MCとsystemic IMによる再発が示唆された。【結論】局所再発は腫瘍血流ドレナージ領域の再発と定義される。
索引用語 肝細胞癌, 局所治療