セッション情報 ワークショップ12(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

肝癌局所制御の標準化

タイトル 肝W12-4:

EOB-MRIによる肝癌RFA治療効果判定:narrow ablative margin(NAM)の有用性

演者 大久保 裕直(順天堂大練馬病院・消化器内科)
共同演者 國分 茂博(順天堂大練馬病院・消化器内科), 宮﨑 招久(順天堂大練馬病院・消化器内科)
抄録 【目的】肝細胞癌(肝癌)に対するRFAでablative margin(以下AM) の判定には、RFA前後での造影CTの異時性比較や、リピオドール沈着を利用した方法などがある。しかし、RFA部は熱変化により辺縁部は不明瞭であり、乏血性肝癌などを治療対象とすることもあり、AMの厳密な評価は困難である。われわれはGd-EOB-DTPA(以下EOB)造影肝にRFAを行い、MRIにてAMを明瞭化する手法を報告してきた。今回、このRFA後治療効果判定と局所再発率につき検討した。【対象と方法】EOB-MRI肝細胞相で低信号を呈す肝癌54例(うち乏血性16例)。 結節径19.1±6.2mm。EOB 静注20分後にRFAを施行し、2,24,72時間後の3D-GRE T1WI(LAVA)にてAM評価を行った。一方、RFA 72時間後の造影CTによるAM評価も行った。治療後EOB-MRIおよびCTを用いて局所再発の有無を検討した。【結果】LAVAにて凝固部は、熱凝固により膨化した腫瘍部低信号、腫瘍周囲のEOB取り込みを反映した高信号帯、その外層の経時的に広がるうっ血を反映する薄い低信号帯と3層構造に描出された。MRI上のAM評価は、腫瘍周囲高信号域のみをAMとする狭義のAM(narrow AM: NAM)で行い、うっ血域の低信号帯まで含めた部がCTでのAMに近似していた。NAMが全周性に獲得されたものをNAM+、全周性には獲得されてないが欠損のないものをNAM0、欠損しているものをNAM-とすると、全54結節の評価はNAM+:19例, NAM0:21例, NAM-:14例であった。局所再発を6例(11%)に認め、再発出現までの平均期間は8.4±5.2ヶ月。一方、局所再発を認めなかった群の平均観察期間は16.3±8.5ヶ月。NAM評価別の局所再発結節数は NAM+:0例, NAM0:1例, NAM-:5例(うち3例はCT上AMありと判定)で、局所再発率はRAM+:0%, RAM0:5%, RAM-:35.7%。【結論】EOB造影肝にRFAをすることで、うっ血域を含まない厳格なAM評価がMRI同一断面上で解析可能であり、NAMの獲得がRFAの十分条件とも考えられる。この評価法は肝癌RFAの局所制御能の向上に有用であることが示唆された。
索引用語 RFA, EOB-MRI