セッション情報 ワークショップ12(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

肝癌局所制御の標準化

タイトル 肝W12-5:

小肝癌の経皮的ラジオ波焼灼術後の局所再発と悪性度、結節部位、焼灼marginの検討

演者 黒松 亮子(久留米大・消化器内科)
共同演者 住江 修治(久留米大・消化器内科), 佐田 通夫(久留米大・消化器内科)
抄録 【目的】小肝癌の経皮的ラジオ波焼灼療法(PRFA)後の局所再発について、腫瘍肉眼型を含んだ悪性度と結節部位、焼灼marginに注目し検討した。【方法】2001年1月から2009年3月にPRFAが施行され2年以上経過観察された初発肝癌336例449結節を対象とし、腫瘍径、腫瘍個数、分化度、腫瘍マーカーの腫瘍悪性度、腫瘍部位 (血管近傍結節、肝表面結節) を用い局所再発に関わる因子を検討した。さらに、画像診断による予測肉眼型、治療評価 (焼灼marginが全周性に存在するか否か) の因子を加えた80例において、同様に検討した。【成績】平均年齢68歳、男女比:195/141例、Child-Pugh A/B/C:147/79/10例、平均最大腫瘍径20.3mm、腫瘍個数:単発/多発226/110例、血管近傍結節72例、肝表面結節92例。局所再発を焼灼域に接した再発と定義した時、1501日の平均観察期間中54/282例(19%)、54/449結節(12%)に局所再発を認め、1/2/3年局所再発率は4/13/16%であった。336例中局所再発を認めた53例は、腫瘍径20mm以上、多発、低分化、L3 10%超、DCP100mAU/ml超、血管近傍結節、肝表面結節が有意に多かったが、ロジスティック回帰分析を用いた局所再発因子の検討では、低分化(P=0.014)、血管近傍結節(P=0.003)、肝表面結節(P=0.0002)のみであった。予測肉眼型、治療評価を因子に加えた80例の検討では、局所再発を認めた16例で、多発、低分化、L3 10%超、血管近傍結節、単純結節周囲増殖型・多結節癒合型、焼灼margin一部不十分結節が有意に多かったが、ロジスティック回帰分析では、予測肉眼型(P=0.0708)のみが局所再発に重要である可能性が示唆された。一方、血管近傍に存在し焼灼marginが十分とれず局所再発を認めた28例中10例には、単純結節周囲増殖型・多結節癒合型が4例、低分化が1例、DCP100mAU/ml以上が2例含まれていた。【結論】PRFA後の局所再発には、血管近傍結節、焼灼marginが不十分であることに加え、癌の悪性度、特に病理学的脈管侵襲に関連がある肉眼型の関与が示唆された。
索引用語 肝細胞癌, 局所再発