セッション情報 ワークショップ12(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

肝癌局所制御の標準化

タイトル 肝W12-9:

肝細胞癌局所治療における局所・同亜区域再発の頻度及び予後への影響

演者 川村 祐介(虎の門病院・肝臓センター)
共同演者 小林 正宏(虎の門病院・肝臓センター), 池田 健次(虎の門病院・肝臓センター)
抄録 【目的】RFAにおける局所・同亜区域再発の頻度及び予後に与える影響を検討.
【対象・方法】2005年1月より2009年9月までに単発・3cm以下のHCCに対して根治的肝切除が施行された60症例,ラジオ波凝固療法(RFA)治療が施行された149例を対象に,治療法別局所・同亜区域再発の頻度及び予後につき検討した.
肝切除、RFA両治療間での背景の比較:以下中央値(最小-最大)で示すが,年齢66(35-80):70(37-83)歳,アルブミン値3.7(2.9-4.7):3.6(2.7-4.4)g/dl, 総ビリルビン値0.8(0.3-2.2):0.9(0.3-2.7)mg/dl,腫瘍径 20(10-30):16(7-30)mm,腫瘍局在(被膜下病変)80%:39%において両群間に有意差を認めた.
【成績】
(1)初回治療後の局所再発
治療部局所再発は肝切除,RFAにそれぞれ0/60例(0%),18/149例(12.1%)に認めた.
(2)初回治療後の同亜区域再発
同亜区域再発は肝切除,RFAにそれぞれ2/60例(3.3%),33/149(22.1%)に認めた. RFAにおいては,初回治療病変が乏血性であった,7例を除いた26例の内,25例で再発病変が多血であった.
(3)多発同亜区域再発の発生頻度
3個以上の同亜区域再発を”多発同亜区域再発”と定義し検討した結果,肝切除,RFAにそれぞれ0/2例(0%),10/33例(30.3%)に認めた.
(4)RFA後局所・同亜区域再発後の追加治療の内訳
RFA後の局所再発の内、横隔膜下・もしくは被膜下病変は89%であり,追加治療としては,6例(33%)にRFAが施行され,12例(67%)にTACEが施行された.
RFA後同亜区域再発を呈した症例の内,20/33例(61%)でRFA・肝切除等の根治的治療が施行されていた.
(5)RFA後局所・同亜区域再発が予後に与える影響初回治療後の局所・同亜区域再発有無別の生存率はLog-rank検定においていずれも(P=0.41), (P=0.74)と有意差を認めなかった.
【結語】肝切除と比較して局所・同亜区域再発はRFAにより高頻度に認められるが, いずれも追加治療で良好にコントロール可能であり,RFA後の予後に与える影響は軽微であった.
索引用語 肝細胞癌, 局所再発