セッション情報 ワークショップ13(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会・消化吸収学会合同)

高齢者における消化器疾患の診断と治療

タイトル 消W13-5:

高齢者早期胃癌症例におけるESD後の中長期予後および再発形式からみた適切なフォローアップの検討;大阪大学ESD study group10施設1007例の検討から

演者 加藤 元彦(大阪大ESD Study GroupDELIMITER大阪大・消化器内科)
共同演者 北村 信次(大阪大ESD Study GroupDELIMITER市立堺病院・消化器内科), 竹原 徹郎(大阪大ESD Study GroupDELIMITER大阪大・消化器内科)
抄録 【目的】高齢者の早期胃癌に対するESDは短期成績の観点からはfeasibleであるとされている。一方で、生命予後を含めた中長期的な観点からのESDの有用性や治療後の適切なフォローアップ法についてのエビデンスは少ない。こうした点を明らかにするため今回多施設でレトロスペクティブな検討を行った。【方法】大阪大学ESD study group参加10施設にて1999年10月より2010年12月にESDを施行された早期胃癌1350例中、一括切除され術後病理診断で断端陰性が確認されたガイドライン適応内・適応拡大症例1007例につき、治療時の年齢が74歳以下(非高齢群)と75歳以上(高齢群)に分けて、Kaplan-Meyer法により全生存率、累積再発率を検討した。胃内再発の確認は全例内視鏡検査で行い、同時性多発病変に関しては治療日を再発日として解析した。【成績】平均観察期間は25.1カ月であった。3年累積全生存率は非高齢群が98.6%、高齢群が95.6%で、高齢群で有意に低かった(p=0.0286)が、いずれも良好であった。死因は全て他病死で、治療関連死を認めなかった。全体の累積再発曲線は術後2カ月の変曲点以後は年率約3.5%で直線的に増加し、少なくとも術後3年まではプラトーに達しなかった。2ヶ月以前の再発は同時多発病変によると考えられた。再発139例中7例(5.0%)は再発時にガイドライン適応外と診断され外科的切除を要したが、これらの再発時期は、ESD後にフォローアップされていなかった1例を除き、18カ月以内であった。累積再発率、再発時の適応外病変の割合については非高齢群・高齢群間で差を認めなかった。【結論】ESDを施行された75歳以上の高齢者の生命予後は良好であり、中長期的な観点からもESDの有用性が示された。再発率は高齢者・非高齢者間で変わらないため、術後のフォローアップは非高齢者と同様に行われるべきと考えられた。
索引用語 ESD, 長期予後