セッション情報 ワークショップ13(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会・消化吸収学会合同)

高齢者における消化器疾患の診断と治療

タイトル 肝W13-10:

高齢者C型慢性肝炎患者の長期予後に及ぼすインターフェロン(IFN)治療の効果

演者 福井 博(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科)
共同演者 植村 正人(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 藤本 正男(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科)
抄録 [目的]高齢C型慢性肝炎患者の肝発癌と予後に及ぼすIFN治療の効果を検討する目的で、長期間経過を観察し得た177例の成績をCoxの比例ハザードモデルを用いて多変量解析する。[方法]肝生検施行後に長期間(平均6.3±3.5年、最長18.2年)経過をみた65歳以上のC型慢性肝炎患者90例(男/女:42/48例)を高齢群、同様に長期間(平均9.1±5.4年、最長18.2年)経過をみた55~64歳のC型慢性肝炎87例(男/女:35/52例)を対照群とした。IFN治療不能・拒否例を加味したIFN投与者/非投与者の構成は高齢群74/16例、対照群60/27例であった。各群毎にCoxの比例ハザードモデルを用いて、IFN治療の肝発癌および生存期間に及ぼす影響について多変量解析した。治療法は従来型IFNまたはペグIFNを主体とし、ガイドライン発表後はそれに準じて治療したが、高齢者では完遂率向上のため特に細やかな用量調節を加えた。IFNの治療効果はHCV-RNAの持続陰性化(SVR)、再燃(PR)、不応(NR)に分類し、肝発癌、生存期間との関連性を検討した。[成績]高齢群では肝線維化F3以上、IFN非投与が早期肝発癌にかかわる有意の独立因子であり、生存期間を短縮させる有意の独立因子は経過中の肝癌合併であった。さらにIFN投与例に限ると肝線維化F3以上、IFNに対するNRが有意の独立した肝発癌促進因子であった。対照 (55~64歳) 群の肝発癌促進、生存期間短縮にかかわる有意の独立因子はともにF3以上、IFN非投与であり、さらに経過中の肝癌合併を加味すると肝癌とIFN非投与が有意の生存期間短縮因子となった。少量IFN継続投与を行った高齢患者全16例(F1/F2/F3以上: 3/4/9例)では平均5.4年(最長10.5年)の観察中、肝癌の合併をみなかった。[結論]IFN治療が65歳以上の高齢C型慢性肝炎の肝発癌を有意に抑制することを初めて明らかにした。緩徐なHCV陰性化を目指す個別化治療や少量継続IFN療法にも期待がかけられるが、有意の生存期間延長効果が対照群でのみ認められたことから、確実な予後改善の為にはより早期のIFN投与が望まれる。
索引用語 高齢C型慢性肝炎, インターフェロン