セッション情報 ワークショップ13(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会・消化吸収学会合同)

高齢者における消化器疾患の診断と治療

タイトル 肝W13-14追5:

超高齢者(80歳以上)の進行肝癌(HCC)に対するソラフェニブ単独治療の成績

演者 加藤 知爾(武蔵野赤十字病院・消化器科)
共同演者 土谷 薫(武蔵野赤十字病院・消化器科), 泉 並木(武蔵野赤十字病院・消化器科)
抄録 【目的】高齢化が進む本邦では高齢者進行肝癌が増加している。進行HCCに対する分子標的薬ソラフェニブの高齢者における治療効果や安全性は確立していない。今回我々は超高齢者(80歳以上)進行HCCに対するソラフェニブ単独治療の成績を検討した。【対象と方法】当院で2009年7月~2011年2月までソラフェニブ治療を開始した55例中、投与1ヶ月後に画像による抗腫瘍効果の判定が可能な47例を対象とした。非高齢者群と高齢者群の治療成績および安全性を比較検討した。治療効果は1か月後mRECIST基準を用いたCT所見、腫瘍マーカーの推移、生存期間で評価を行い、投与量による減量期間、有害事象の発生も検討した。ソラフェニブの有害事象による早期中止を懸念し当院では、80歳以上の高齢者に原則400mg/日で投与開始した。【結果】ソラフェニブ開始量は80歳未満の群(非高齢者群)と80歳以上の群(高齢者群)で800mg/400mgがそれぞれ27/13例、0/7例であった。mRECIST基準による抗腫瘍効果(PR/SD/PD)は非高齢者群が11/14/9例に対し高齢者群では2/2/3例で両群間に有意差は認めなかった。(p=0.672)。高齢者群ではPR+SD4例、PD3例でありPR1例は肝内はCRであった。高齢者群の累積無増悪期間は109.3日、累積生存期間は173.9日、内服減量までの期間は22.3日、内服中止までの期間100.6日で非高齢者群と有意差は認めなかった。腫瘍マーカーはAFP値が治療前値の20%以上低下は高齢者群1/7例、非高齢者群13/40例で、PIVKAでは高齢者群3/7例、非高齢者群27/40例であった。減量理由は高齢者群でGrade2の肝障害2例、全身皮疹2例、血小板低下2例であった。非高齢者群は肝障害、食欲低下、手足皮膚症候群を多く認めた。高齢者群に認めたGrde3以上の有害事象は下痢2例、肝障害2例で、非高齢者群はそれらに加え食欲低下、手足皮膚症候群を多く認めた。重篤な有害事象の発現に両群に有意な差は認めなかった。【結語】80歳以上の超高齢者進行肝癌症例に対して400mg/日でソラフェニブ導入を行い非高齢者と同等の安全性と効果が得られた。
索引用語 高齢者, ソラフェニブ