セッション情報 ワークショップ13(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会・消化吸収学会合同)

高齢者における消化器疾患の診断と治療

タイトル 消W13-16追6:

当院過去10年間における胆石症の年齢別・年代別検討

演者 西川 稿(上尾中央総合病院・消化器内科)
共同演者 山中 正己(上尾中央総合病院・消化器内科)
抄録 【はじめに】我が国の胆石保有率は10~15%と推測されるが、近年は高齢者の、胆石症患者は年々増加傾向との報告がある。時代により高齢者の胆石症が実際増加しているのか?治療法の変貌はあるのか?当院10年間の胆石症について検討する。 【目的】当院における胆石症で入院となった患者の動向を年代別、年齢別に分類し胆石症の数の動向、治療法の変化、予後などを検討する。【対象】当院に過去10年間の入院した、胆石症患者(胆嚢結石、総胆管結石)を前期:2001年から2005年、後期:2006年から2010年に分類、さらに80歳未満と80歳以上に分類し検討を行った。【結果】10年間の胆石症での総入院数は1404例で同期間の入院全体の9.74%であった。年代別に前期:651例、後期:753例。うち80歳未満の症例は前期534例、後期556例。80歳以上の症例は前期:117例、後期197例であった。期別、年齢別にERCP(排石術やドレナージ)を行った例は、80歳未満では前期328例(61.4%)と後期341例(61.3%)と変わりなかったが、80歳以上では、前期57例(48.7%)から後期115例(58.3%)と実数と率の増加が見られた。PTCD施行症例は前期、後期、年齢別でも差違は見られなかった。80歳以上の例で外科転科例は前期6例、後期25例と増加していが、合併症などで外科以外の内科・循環器科・整形外科への転科例も数多く見られた。80歳以上の死亡例は前期6例、後期14例であった。【考察】近年の高齢化社会と胆石症患者の増加により80歳以上の胆石症患者は過去10年間を5年ごとに分けて見てみると実数で1.63倍(117例から197例)に増加しており、さらに内視鏡的治療を行った率は80歳未満では変化見られなかったが、80歳以上では48.7%から58.3%へと増加していた。外科転科手術例も増加していたが、死亡例も増加していた。高齢化社会となり、現在80歳以上の方も総じて元気であり、各種、治療法に対応可能となってきており積極的に治療がなされていると思われる。さらに、医療の進歩とERBD等の内視鏡治療器具の進歩とともに高齢者でも内視鏡治療可能となり、寿命が延び高齢のため亡くなっていると思われる。実際、後期では90歳以上の死亡が5例見られた。【結語】時代とともに胆石症患者の寿命も延びてきていると思われた。
索引用語 胆石症, 高齢者