セッション情報 |
ワークショップ13(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会・消化吸収学会合同)
高齢者における消化器疾患の診断と治療
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タイトル |
消W13-17追7:高齢者の急性胆管炎
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演者 |
中路 聡(亀田総合病院・消化器内科) |
共同演者 |
平田 信人(亀田総合病院・消化器内科), 白鳥 俊康(亀田総合病院・消化器内科) |
抄録 |
【背景】本邦では人口動態の変化に伴って高齢者が著明に増加し,高齢者に対する内視鏡治療を行う機会が大幅に増加している.重篤な基礎疾患を有したり,予期しない偶発症のため長期間の入院を要したり,致命的になるケースも存在するため高齢者の急性胆管炎の特徴を知っておくことは重要であると思われる.【方法】65~74歳までを前期高齢者,75~84歳までを後期高齢者,85歳以上を超高齢者と分類し64歳以下の若年者と比較した.重症度分類は国内ガイドラインを用いた.受診時の臨床症状は腹痛,黄疸,発熱,血圧,脈拍,呼吸数を,検査値は白血球,血小板,PT-INR,Cr,CRPを,経過は白血球の正常化,Bilの正常化,CRPの正常化,腹痛の消失,37℃以下の解熱,入院期間を比較した.【結果】若年者110件,前期高齢者131件,後期高齢者193件,超高齢者114件であった.年齢階級が上昇するに従い重症の比率が高くなり若年者に対するオッズ比は1.5,3.1,3.3であった.臨床症状は若年者に比較し発熱の比率が高く(オッズ比2.1,3.1,2.5),腹痛の比率が低かった(オッズ比0.45,0.53,0.28).黄疸,血圧,脈拍,呼吸数に有意差は認められなかった.検査値でも年齢階級の上昇に伴い悪化し後期・超高齢者では全項目で統計学的に有意差が認められた.経過では後期高齢者および超高齢者の白血球正常化期間,後期高齢者の解熱期間,前期・後期・超高齢者の入院期間に有意差が認められた.【結論】高齢者の急性胆管炎の臨床的特徴は腹痛に乏しく,発熱の頻度が高く,炎症反応が高い.菌血症をはじめとした重症の状態で診断されることが多く入院期間も長い.腹痛が乏しいため受診が遅れ全身的感染症となった時点で受診されている症例が多いと考えられ早期のドレナージ及び適切な抗菌薬加療を必要とする. |
索引用語 |
急性胆管炎, 高齢者 |