セッション情報 | ワークショップ14(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)エピジェネティクスと消化器癌 |
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タイトル | 外W14-10:HCV関連肝細胞癌におけるAlu repeatメチル化率による予後予測 |
演者 | 恒富 亮一(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学) |
共同演者 | 飯塚 徳男(山口大附属病院・漢方診療部), 岡 正朗(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学) |
抄録 | 【目的】肝細胞癌は肝内再発のため予後不良である。ゲノム全体のメチル化は癌部ではhypomethylationとなることが知られており、本研究ではDNAメチル化率と再発との関連を解析し、術後肝内再発予測による肝細胞癌の予後改善を目的とした。 【方法】44例(HCV-related:n = 24)のHCC患者からの非癌部肝臓組織および癌部から抽出したゲノムDNAにおけるメチル化率を測定した。メチル化率は、LINE-1及びAlu repeatに対してMethylight法により定量した。ROC曲線解析によって識別性能の評価を行った。予後解析にはKaplan-Meier曲線を用いた。 【成績】LINE-1およびAlu repeatメチル化率と年齢との間に有意な相関は見られなかった。非癌部と比較して癌部でのhypomethylationがLINE-1 (0.57-fold, p < 0.001)およびAlu repeat (0.84-fold, p = 0.024)のそれぞれにおいて観察された。LINE-1メチル化率による癌部・非癌部識別能は、ROC曲線下面積0.89 (感度97.7%、特異度81.8%)を示した。HCV感染患者でのサブ解析において、非癌部におけるAlu repeatメチル化率は、術後2年以内再発群(n = 15)では2年無再発群(n = 9)と比較して有意に低かった(0.80-fold, p = 0.030)。術後1年以内再発・無再発群ではAlu repeatメチル化率に差は認められなかった。非癌部におけるAlu repeatメチル化率による術後2年以内肝内再発識別能は、ROC曲線下面積0.77 (感度66.7%、特異度93.3%)を示した。Alu repeat低メチル化群は高メチル化群と比較して有意に無再発生存期間が短かった(p = 0.007)。多変量ロジスティック回帰から、非癌部におけるAlu repeatメチル化率は術後2年以内肝内再発の独立した規定因子であった。 【結論】LINE-1メチル化率は癌マーカーとして、Alu repeatメチル化率は術後2年以内肝内再発予測のバイオマーカーとして有用である。 |
索引用語 | 肝細胞癌, DNAメチル化 |