セッション情報 ワークショップ14(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

エピジェネティクスと消化器癌

タイトル 消W14-12:

ヒストン脱メチル化酵素JMJD3の発現低下は膵癌の進展を促進する

演者 山本 恵介(東京大・消化器内科)
共同演者 立石 敬介(東京大・消化器内科), 小池 和彦(東京大・消化器内科)
抄録 【目的】発癌や癌の進展には、遺伝子変異に加えてエピジェネティックな異常も関与する。トリメチル化ヒストンH3リシン残基27(H3K27me3)は幹細胞性の維持に重要な抑制性のエピジェネティック修飾だが、その修飾因子の異常が多数の癌で報告されている。JMJD3はH3K27特異的なヒストン脱メチル化酵素の一つであり、p16/INK4aの活性化を介して発癌抑制に関与することが知られているが、癌化した細胞における機能は不明である。膵癌におけるJMJD3の機能解析ならびに標的遺伝子の同定を行った。【方法】ヒト膵癌細胞株にshRNA発現レンチウイルスベクターを感染させ、JMJD3の安定ノックダウン株を樹立した。表現形解析として軟寒天コロニー形成アッセイ、スフィア形成アッセイ、マトリゲルインベージョンアッセイに加え、ヌードマウスを用いた同所移植・脾臓内移植を行った。JMJD3の標的遺伝子を同定するため、cDNAマイクロアレイを用いて変動遺伝子を網羅的に解析した。同定された標的遺伝子についてクロマチン免疫沈降法(ChIP)を行い、ヒストン修飾状態を解析するとともに、レトロウイルスベクターを用いたレスキュー実験も行った。【成績】JMJD3の高発現膵癌細胞株でJMJD3をノックダウンすると、in vitro, in vivoで腫瘍形成能、浸潤能が増加した。網羅的発現解析では癌抑制遺伝子CEBPAならびにその標的遺伝子群の発現が有意に変動した。ChIPアッセイではJMJD3ノックダウンによりCEBPAの発現低下とともにCEBPAのTSS上流領域にてH3K27me3、SUZ12が増加した。さらに、JMJD3のノックダウン細胞にCEBPAを強制発現させると、これら表現形がレスキューされた。【結論】JMJD3の発現低下は癌抑制遺伝子CEBPAの発現低下を介してヒト膵癌の進展に寄与する。
索引用語 エピジェネティクス, 膵癌