セッション情報 ワークショップ15(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)

肝細胞癌に対する治療の標準化-内科の立場・外科の立場-

タイトル 肝W15-3:

小型肝細胞癌に対するラジオ波熱凝固療法(RFA)を主体とした当院の治療戦略

演者 木村 達(大阪赤十字病院・消化器科)
共同演者 大﨑 往夫(大阪赤十字病院・消化器科), 喜多 竜一(大阪赤十字病院・消化器科)
抄録 【目的】小型肝細胞癌に対するRFAと肝切除との治療成績を検討し,当院における治療選択の妥当性を検証する.【対象および方法】対象は2000年から2009年の間に当院にて治療した,初発肝細胞癌患者1494例の内,Child-Pugh AまたはBで腫瘍径3cm以下,3個以下で,初回治療としてRFAまたは肝切除が選択された649例である.初発肝細胞癌649例中547例にRFA(RFA群),102例に肝切除(OPE群)が施行された.RFAは主としてCool-tip RFAシステムを用い,総て超音波誘導下に経皮的に施行した.両群の宿主側因子,腫瘍因子,長期予後を検討した.両群間の平均値の差はT検定,累積生存率はKaplan-Meier法およびLogrank検定を用いた.【成績】RFA群の3,5,7年生存率は,82.6, 64.5, 48.6%,OPE群はそれぞれ81.6, 69.2, 56.5%で,両者に有意差を認めなかった.両群間の宿主側因子の比較では,RFA群は,年齢が高く(67.8±8.7 vs. 64.7±10.1才,p<0.01),女性が多く(38.0 vs. 28.4%),背景肝が肝硬変が多く(75.5 vs. 62.7%),Child-Pugh Bが多かった(29.1 vs 14.7%).両群間の腫瘍因子の比較では,RFA群において最大腫瘍径が有意に小さかった(2.0±0.6 vs. 2.4±0.5cm,p<0.01)が,腫瘍マーカー値(AFP, PIVKA II)の差は認めなかった.【結論】当院では,小型肝細胞癌に対しては主にRFAが施行されているが,その中でも腫瘍径が大きく,年齢が若く,肝予備能が良好な症例に肝切除が選択されていた.両群の長期生存に有意差はなく,治療選択はおおむね妥当と思われた.
索引用語 肝細胞癌, ラジオ波熱凝固療法