セッション情報 ワークショップ15(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)

肝細胞癌に対する治療の標準化-内科の立場・外科の立場-

タイトル 肝W15-8:

進行肝癌に対するラジオ波焼灼療法の可能性

演者 狩山 和也(岡山市立市民病院・肝疾患センター)
共同演者 能祖 一裕(岡山市立市民病院・肝疾患センターDELIMITER岡山大大学院・分子肝臓病学), 湧田 暁子(岡山市立市民病院・肝疾患センター)
抄録 【目的】早期肝細胞癌(HCC)に対するラジオ波焼灼療法(RFA)の予後報告は集積され,その位置はほぼ確立されているが,進行肝癌(特にMilan適応外)のHCCに対するRFAの有用性についてはほとんど評価されていない。今回,我々はMilan適応外HCCにおけるRFAあるいは肝動脈塞栓療法(TACE)+RFAの可能性について検討した。【方法】RFA単独またはTACE+RFAで治療を行ったMilan適応外初発 HCC 82例(2001~2010),男性/女性:63/19,年齢70(44-87)歳,HBV/HCV/NBNC:12/59/11,Child-Pugh A/B/C:48/22/12,腫瘍径35(10-200)mm,腫瘍個数4(1-12)個,脈管浸潤陽性/陰性:36/46。予後についてKaplan-Meier法,Cox比例Hazardモデルを用い検討。第18回全国原発性肝癌追跡調査の予後と比較しRFAの適応について考察。全例に他治療も含め説明を行い本治療についての同意を得た。【成績】腫瘍径3cm以上では原則的にTACE先行としたが,ADL等にて施行できない例もありRFA単独治療が46例(56.1%),TACE+RFAが36例(43.9%)であった。Milan適応外82例の1,3,5,7年生存率は82,58,43,31%。予後因子解析では最も寄与するのはAlbumin値で,次に脈管浸潤の有無であり腫瘍径,腫瘍個数は有意ではなかった。Milan適応外の中で脈管浸潤陰性例では1,3,5,7年生存率は92,77,64,50%。脈管浸潤陽性例でも背景肝の予備能がChild-Pugh Aの場合1,3,5,7年生存率は93,52,30,15%。合併症は血胸、肺熱傷、横隔膜熱傷、難治性腹水の4例(4.9%)。【結論】Milan適応外の5生率43%,7生率31%は第18回全国原発性肝癌追跡調査の肝細胞癌全症例(37.9%,26.7%),肝動脈塞栓療法全症例(24.2%,14.0%)のいずれも上回っており,Milan適応外でもRFAあるいはTACE+RFAの有効性が考えられた。Milan適応外症例中の脈管浸潤陰性例では5生率は65%でありRFAの適応として良いと考えられた。また,脈管浸潤陽性例でも予備能がChild-Pugh Aなら集学的治療の1つのオプションとしてのRFAで予後は改善できる可能性がある(5生率30%)と考えられた。
索引用語 進行肝癌, ラジオ波焼灼療法