セッション情報 ワークショップ15(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)

肝細胞癌に対する治療の標準化-内科の立場・外科の立場-

タイトル 肝W15-9:

肝動脈注入化学療法により切除可能となった高度脈管侵襲を伴う切除不能進行肝細胞の検討

演者 波多野 悦朗(京都大・肝胆膵・移植外科)
共同演者 猪飼 伊和夫(国立京都医療センター・外科), 上本 伸二(京都大・肝胆膵・移植外科)
抄録 【背景】Vp3-4, Vv3の肝細胞癌の予後は極めて不良で、欧米では、sorafenibが標準治療とされるが、本邦では切除可能であれば、切除プラス術後補助肝動脈注入化学療法(肝動注)、切除不能例では肝動注が行われてきた。有効性と安全性に関して、低用量FPおよびIFN併用5FU肝動注を比較し、切除可能となった症例を検討した。【方法】切除不能Vp3-4ないしVv3肝細胞癌症例(リンパ節転移、遠隔転移の有無を問わない)でPS0-1、肝腎機能の保たれた症例を施設、stage IVAおよびIVB、VpおよびVv、Child-Pugh AおよびBを割付調整因子としてFP群とIFN/5FU群にランダムに割付。全生存期間(OS)および治療成功期間(TTP)をエンドポイントとした。【結果】登録施設は4施設で登録された患者は29症例。FP群に15例、IFN/5FU群に14例割付。男性/女性; 25/4、PS0/1; 23/6、Child-Pugh A/B; 17/12、Vp3/Vp4/Vv3/Vp3+Vv3; 11/13/3/2、stage IVA/IVB; 18/11。Grade 3以上の有害事象はFP群では6例(好中球数減少4例、血小板数減少4例)、IFN/5FU群では8例(血小板数減少4例、AST上昇3例)で、両群で有意差を認めず。全生存期間の中央値は10.2 (95% CI:7.3-15.1)月で、FP群およびIFN/5FU群の生存期間中央値はそれぞれ13.2 (9.8-19.5) , 7.8 (2.9-21.6) 月で有意差を認めず(p=0.3767)。Vp3の12例の検討ではFP群が良好な生存期間を示した(19.5 vs. 5.4ヶ月, p=0.0483) 。治療成功期間においても両群間に有意差を認めず(p=0.5202)。5例(17.2%, FP/IFN5FU; 3/2例)で肝動注が奏効し肉眼的治癒切除が可能とり、1例は肺転移を含めpathological CRとなった症例で、いずれも2年以上の生存を得ることができた (25, 35, 50, 50, 82M生存)。【結語】FPおよびIFN/5FU肝動注の両群間で生存期間の有意差を示すことはできなかったが、重篤な有害事象は認めなかった。17.2%の患者で肝動注と肝切除による集学的治療により長期生存がえられたことより、肝動注の意義が示唆された。
索引用語 肝動注, 肝細胞癌