セッション情報 |
ワークショップ15(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)
肝細胞癌に対する治療の標準化-内科の立場・外科の立場-
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タイトル |
肝W15-11追3:StageIV進行肝細胞癌治療の標準化―Sorafenib治療とリザーバー化学療法の比較検討―
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演者 |
田尻 博敬(麻生飯塚病院・肝臓内科) |
共同演者 |
矢田 雅佳(麻生飯塚病院・肝臓内科), 増本 陽秀(麻生飯塚病院・肝臓内科) |
抄録 |
背景と目的:StageIV進行肝細胞癌の予後は極めて不良であるが、分子標的薬の出現による予後の改善が期待され、他の治療法を含めた効果の検証と治療の標準化が求められる。今回我々は、Child-Pugh AのStageIV進行肝細胞癌71例を対象として各種治療法の効果を検討したので報告する。方法:対象は1ヵ月以上治療を継続したStageIVa 29例、Stage IVb 42例で、治療法はリザーバー化学療法57例、Sorafenib治療14例である。StageIVaに対しては動注化学療法 (HAI)またはSorafenib治療を施行した。Stage IVbに対してはHAI、中心静脈リザーバーによる全身化学療法 (CVI)、HAI先行後CVIに切り替えるHAI&CVI、またはSorafenib治療を施行した。HAIはNewFP変法を用い、動注ポートからアイエーコール50 mgとリピオドールの懸濁液を動注後に5-FU 300~400 mg/24hrを5日間持続注入した。CVIは中心静脈ポートからCDDP 20 mg投与後、5-FU 300~400 mg/24hrを5日間持続注入した。いずれの治療も2日間の休薬を入れて3~4週間繰り返し、さらに2~4週間休薬した後可能な限り継続した。HAI&CVIではHAI導入後2~5ヵ月でCVIに移行した。Sorafenibは200~800 mgを連日投与した。結果:Overall survival time (OS)は、StageIVaではSorafenibがMST 245日 (1年生存率 21%、2年生存率 0%)、HAIはMST 999日 (1年生存率 63%、2年生存率 50%)であり、HAIの生存期間が有意に良好であった (p=0.0190)。一方、StageIVbのMSTはHAI 207日、HAI&CVI 410日、Sorafenib 592日で、HAIに比してHAI&CVIとSorafenibの生存期間が有意に良好であり (それぞれp=0.0097、p=0.0040)、HAI&CVIとSorafenibの間には有意差を認めなかった。結論:治療効果とQOLを勘案し、StageIVaにはNewFP変法によるHAI、Stage IVbにはSorafenib治療が適切であると考えられる。 |
索引用語 |
Sorafenib, 肝動注化学療法 |