セッション情報 ワークショップ15(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)

肝細胞癌に対する治療の標準化-内科の立場・外科の立場-

タイトル 肝W15-12:

肝外転移合併肝細胞癌に対する全身/動注化学療法を主体とした集学的治療の成績

演者 平松 憲(広島大・消化器・代謝内科)
共同演者 相方 浩(広島大・消化器・代謝内科), 茶山 一彰(広島大・消化器・代謝内科)
抄録 【目的】 肝外転移合併肝細胞癌(肝癌)に対する,ソラフェニブ治療例を除いた全身/動注化学療法による集学的治療の成績を解析した.【対象と方法】 対象は,00年~09年12月までの肝外転移合併肝癌,Child-Pugh A179例のうち,ソラフェニブ投与例を除き,全身/肝動注化学療法を行った157例.肺/骨/副腎/リンパ節/その他:80/40/42/15/18 (重複有り).肝内Stage T0/1/2/3/4: 13/10/24/35/75.治療選択は,原則として,肝内制御例にはS1 based sys chemo (n=51,S1/IFNまたはS1/CDDP),塊状型/びまん型,脈管侵襲陽性例にはHAIC (n=63,IFN/5FUまたはlow dose FP),結節型はTACE (n=43)を行った.また,骨転移合併例はRT照射し,ゾレドロン酸併用による骨転移抑制効果について,非併用例と比較した.【結果】 1) 全体でのMST19ヶ月,1/2生存率66/44% (観察期間中央値8ヶ月).肝内T因子別(1/2年生存率,MST)は,T0/1(67/57%,30M), T2(71/55%,31M), T3(71/27%,17M), T4(33/20%,8M)と,層別化された(p<0.0001).独立予後因子として,骨転移無し(HR2.4, p=0.006),肝内T因子0/1 (HR2.1, p=0.031)が抽出された.骨転移例では肝内T因子別に予後は層別化されなかった.2) S1 based sys chemo症例のMST 30ヶ月,予後因子として,奏功有り(HR6.2, p=0.007),腫瘍数単発(HR3.1, p=0.015)が抽出された.一方,HAIC症例ではMST 14ヶ月,予後因子として,奏功あ(HR2.526,p=0.010)が抽出された.3) 骨転移へのRT施行例のうち,ゾレドロン酸投与例では,非投与例に比べ,骨転移巣の無増悪期間,骨関連イベント発生率は,有意に良好であった (p=0.025, p=0.037).【結語】 肝外転移合併肝癌では,肝内腫瘍進行度,骨転移の有無により予後は層別化され,全身/動注化学療法による集学的治療奏功例では,有意に予後改善が期待できる.また,骨転移の進展抑制には,RT/ゾレドロン酸が有効である.
索引用語 肝癌, 化学療法