セッション情報 |
ワークショップ16(消化器外科学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)
消化器癌におけるPETの位置づけ
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タイトル |
外W16-1:食道癌治療戦略におけるFDG-PETの位置付け
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演者 |
安田 卓司(近畿大・外科) |
共同演者 |
奥野 清隆(近畿大・外科), 塩崎 均(近畿大・外科) |
抄録 |
【目的】FDG-PETにおける食道癌の検出率は高く、そのSUVmaxは腫瘍サイズと相関する。今回、食道癌治療におけるFDG-PETの意義とその活用について報告する。【進行度診断】T因子:T1b(sm3)で70%前後、T2以上でほぼ全例で集積を認めるが、存在診断である。N因子:術前無治療で根治切除の76例の検討では、病理切片上での癌細胞数はLNに集積を認めたPET-N(+)の26例は23.6×104 cellsに対し、PET-N(-)の50例は1.96×104 cellsと有意に少なかった。LN転移巣サイズは予後を反映し、5年無再発生存率(RFS)はPET-N(+)の29.6%に対しPET-N(-)は75.1%と良好であり(p=0.0004)、LN転移個数もPET-N(+)の84.6%が3個以上、PET-N(-)の92.0%が2個以下であった。PET-N診断は再発予測に有用で、PET-N(+)が術前治療の対象症例と考える。M因子:PETによるM因子の指摘で治療方針を変更した率は15%~38%と報告され、遠隔転移の除外による手術適応の決定に有用である。【治療効果判定】局所進行癌:術前化学療法/CRT施行のT3.5食道癌50例で、治療後PETで主腫瘍への集積(-)(SUVmax<2.5)の21例中18例(85.7%)がGrade2以上の組織効果を示したの対し、集積(+)の29例においては僅か2例(6.9%)で、組織学的治療効果予測に有用であった。切除可能N(+)食道癌:PET-N(+)のcStage II/III(non-T4)の41例に対し術前化学療法:FAP(CDDP+ADM+5FU)を施行した。治療後PET-N(-)へ転じた症例は24例(58.5%)で治療後もPET-N(+)は17例であった。LN転移個数は、PET-N(-)の85.7%が2個以下であるのに対し、PET-N(+)は70.5%が3個以上で、5年RFSは前者の73.9%に対し後者は15.6%と極めて不良であった。多変量解析の結果でも治療後のPET-N(-)は最も強い術前の予後因子であり、治療効果判定に有用と考える。【再発診断】直接組織の採取が困難な縦隔のLNや局所再発、および胸膜播種の良悪の鑑別に有用で、早期発見、早期治療開始に貢献すると考える。【結語】FDG-PETは、遠隔転移診断、術前治療の適応決定、治療効果判定、そして再発の鑑別診断と食道癌治療戦略において鍵を握る重要な検査と考える。 |
索引用語 |
食道癌, FDG-PET |