セッション情報 ワークショップ16(消化器外科学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

消化器癌におけるPETの位置づけ

タイトル 消W16-2:

導入化学療法とPETを用いた食道癌化学放射線療法の治療効果予測

演者 石原 立(大阪府立成人病センター・消化管内科)
共同演者 山本 幸子(大阪府立成人病センター・消化管内科), 飯石 浩康(大阪府立成人病センター・消化管内科)
抄録 【背景】食道癌に対する化学放射線療法(CRT:Chemo radiotherapy)の有効性を事前に予測できれば、食道癌症例のQOLおよび予後向上に貢献できるが、現在のところ臨床的に広く用いられている予測法はない。【治療効果予測法】過去に当院で食道癌に対し化学療法後にCRTを行った症例では、化学療法とCRTの効果に強い相関がみられた。我々はこのことからCRTの前に導入化学療法を行いその効果を評価することにより、CRTの効果予測が可能になると考えた。導入化学療法の効果判定にはPETを用いた。【方法】進行食道癌(T1b-4, N0-1, M0)を対象に以下のスケジュールで治療を行った。導入化学療法:CDDP 70mg/m2を第1日に2時間で点滴静注し、5-FU 700mg/m2/日を第1日から24時間かけて4日間連続持続静注する。効果判定:導入化学療法開始後12日~24日の間にPET検査を行い治療前の標準摂取率(SUV:Standardized uptake value)と比較する。CRT:第29日以降に導入化学療法と同じメニューで化学療法を行い、これと併行して放射線治療60Gy/1回2Gyを施行する。【結果】2007年4月から2010年7月に食道癌16例に上記スケジュールで治療を行った。CRT後にCRとなった10例の導入化学療法前後でのSUVmaxの平均低下率は59±9%で、CRとならなかった6例の平均低下率は14±16%で、両者には有意差がみられた(P<0.0001)。仮にSUVmaxの低下率55%で導入化学療法に対するRespondeとnon-responderを分けると、Responderの10例中8例がCRTによりCRとなり、Non-responderは6例ともCRとならなかった。【まとめ】導入化学療法前後のSUV低下率はCRTの効果と有意に相関しており、導入化学療法とPETによるCRTの事前効果予測の有用性が示唆された。
索引用語 食道癌, PET