セッション情報 |
ワークショップ16(消化器外科学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)
消化器癌におけるPETの位置づけ
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タイトル |
外W16-4:大腸癌におけるPET/CTの術前診断能
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演者 |
伊藤 雅昭(国立がん研究センター東病院・下部消化管外科) |
共同演者 |
佐藤 雄(国立がん研究センター東病院・下部消化管外科), 齋藤 典男(国立がん研究センター東病院・下部消化管外科) |
抄録 |
癌の外科治療において画一的な予防的リンパ節郭清が行われるのは、その転移診断が充分でないことが主たる原因である。この状況で腫瘍学的安全性を担保するために、予防的な広めのリンパ節郭清を行うことは極めて常識的な判断である。今後大腸癌における術前診断精度の追及は、リンパ節郭清範囲の縮小、あるいは省略を実現しうる可能性がある。【目的】大腸癌におけるFDG PET/CTを中心にそのリンパ節転移診断能を評価し、リンパ節郭清にPET-CTがいかに寄与し得るかについて考察した。【方法と対象】2004年より大腸癌術前診断として207例にFDG PET-CTが施行された。微小なリンパ節転移描出に特化した条件設定としてFDGを10mCi投与後90分後より撮像を開始し10分の収集条件にて画像を構築した。術前リンパ節転移診断は、描出リンパ節のSUV(Standardized Uptake Value)を用いたcut-off値に基づき行われた。診断はリンパ節領域ごとに病理診断と対応させた。また、同一患者の術前診断としてFDG PET/CTとFLT PET/CTを行いその術前診断の意義を比較検討した。【結果】1.リンパ節転移へのFDGの非転移と比較した有意な集積がSUV値により示された。特に原発巣より離れた2群以上のリンパ節でその傾向は強く示された(2群リンパ節転移の平均SUV=7.2, p≦0.001、1群リンパ節転移の平均SUV=3.8,p=0.009)。その結果、2群リンパ節転移診断におけるaccuracy/sensitivity/specificityは89%/63%/96%と良好でCTやPET単独の診断能を凌駕した。一方1群リンパ節転移に対する診断は特に炎症所見を伴う症例で偽陽性を示すことで精度低下を招くことが分かってきた。2. FDG PET/CTはFLT PET/CTと比較して感度と精度において良好なリンパ節転移診断能を有した。FLT PET/CT画像において、原発の集積性の高い腫瘍がその無再発生存期間が短縮される傾向にあることが示された。【】大腸癌術前リンパ節転移診断においてはFDG PET/CT は良好な成績を示したが、治療選択を変えるほどの精度は有していなかった。また、FLT PET/CTは、その集積性から腫瘍の悪性度を反映し得る可能性が示された。 |
索引用語 |
PET/CT, 大腸癌 |