セッション情報 ワークショップ16(消化器外科学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

消化器癌におけるPETの位置づけ

タイトル 外W16-5:

大腸癌診療におけるPET/CTの有用性: 3次元合成複合バーチャル画像診断の臨床応用

演者 竹政 伊知朗(大阪大・消化器外科)
共同演者 関本 貢嗣(大阪大・消化器外科), 森 正樹(大阪大・消化器外科)
抄録 【目的】大腸癌個々の症例に応じた過不足のない安全で確実な手術を遂行するためには、術前の正確な進展度診断が重要である。特に腹腔鏡下手術適応症例の術前診断や直腸癌の再発診断では、視覚的な腫瘍局在および周囲臓器の立体的解剖の把握が重要であり、PETとMDCTの複合的応用による、静的・質的診断の向上が図られている。われわれはFDG-PET/MDCT, virtual colonographからなる3次元合成バーチャル画像を構築し、大腸癌手術への応用について検討した。【方法】T1以深と診断された大腸癌原発巣390例および直腸癌骨盤内局所再発35例を対象とした。3次元合成バーチャル画像よりまず転移の有無を含むTNM進展度を評価した。さらにbackgroundをreduction処理し、腫瘍局在、腸管走向、骨、血管走向とvariationをそれぞれ特異的に描出合成し、腸管―腫瘍―脈管の立体解剖を仮想構築した。【結果】原発巣診断ではT1の4例(LST:3例、IIa+IIc:1例)を除き99%で描出された。リンパ節転移診断では短径8mm以上、SUVmax1.5の複合cutoffを設定し、その正診率は74%で、他の単一modalityより優れていた。また遠隔転移(肝・肺)の診断能は96%であった。直腸癌再発巣診断では正診率がCT単独で79%、PET単独で88%であったのに対してPET/MDCTでは93%と高い精度を示した。また化学療法,放射線治療の効果予測のパラメーターとしても有用性が確認できた。【まとめ】PET/MDCT を基軸とした3次元合成バーチャル画像は大腸癌局所進展度診断に有用であった。原発巣手術では、局所立体的解剖の視覚的把握に優れ、個々の症例に応じた適正かつ合理的な大腸癌根治術のための術前シミュレーションだけではなく、術中の画像ナビゲーションとしても有用であった。再発巣治療においては局所診断のみならず、化学療法,放射線治療の効果予測のパラメーターとしても有用であった。
索引用語 大腸癌, PET/MDCT