セッション情報 ワークショップ16(消化器外科学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

消化器癌におけるPETの位置づけ

タイトル 消W16-7:

膵癌および膵疾患の術前診断におけるFDG-PETの位置づけ

演者 松本 逸平(神戸大・肝胆膵外科)
共同演者 白川 幸代(神戸大・肝胆膵外科), 具 英成(神戸大・肝胆膵外科)
抄録 緒言:膵疾患に対するFDG-PET検査(PET)は日常臨床で使用する機会が増えているが、その診断限界や意義については他検査ほど十分な検討がなされていない。今回、膵癌及び膵癌と鑑別を要した膵腫瘤性病変、IPMN、膵内分泌腫瘍(NET)におけるPETの有用性を検討した。対象と方法:当科で1.治療方針決定のためPETを含む精査を行った膵癌165例(非切除97例、切除例68例)。2.腫瘤形成性膵炎(TFP)7例、限局型自己免疫性膵炎(AIP)4例。3.IPMN切除55例。4.NET切除17例を対象にretrospectiveに検討した。結果:1.原発巣の検出率は93%(154/165)と高率であった。Stage別では、Stage I、II、III、IVa、IVbはそれぞれ67% (4/6)、 50% (1/2) 、83% (19/23)、100% (50/50)、96% (80/83)であった。組織学的に最大腫瘍径を測定し得た切除例の検出率は腫瘍径≦20mmでは63% (10/16)、>20, ≦40 mmでは92% (35/38)、>40 mmでは93% (13/14)であった。遠隔リンパ節(No.16LN)転移では、検出率は58% (19/33)であり、CTでの検出率76% (25/33)より低率であった。肝転移例ではPETのみで肝転移を診断できた例はなく、検出率は43% (17/40)で、CT及びMRIでの検出率58% (23/40)、53%(16/30)より低率であった。2.検出率はTFP 57% (4/7)、AIP 100% (4/4)であり、TFP1例、AIP2例で膵癌が否定できず切除となった。3.IPMA、IPMC、浸潤性IPMCの検出率は10% (3/33)、68% (15/22)、77% (10/13)であった。4.NETの検出率は94% (16/17)であった。結語:膵癌診断においてPETは原発巣の検出率は高いが、StageI, IIや腫瘍径20mm以下では検出率が低下していた。また遠隔リンパ節、微小肝転移の診断には限界があった。PETのみでは治療方針決定や炎症性膵腫瘤との鑑別は困難で、臨床所見や従来の画像検査と合わせ総合的診断が必要である。IPMNでは良悪の鑑別に有用で、NETでは高い検出率を示した。
索引用語 FDG-PET, 膵