セッション情報 ワークショップ16(消化器外科学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

消化器癌におけるPETの位置づけ

タイトル 消W16-8:

FDG-PETは肝細胞癌の治療計画に影響を与えるか?

演者 川村 悦史(大阪市立大大学院・肝胆膵病態内科学DELIMITER大阪市立大大学院・核医学)
共同演者 河田 則文(大阪市立大大学院・肝胆膵病態内科学), 塩見 進(大阪市立大大学院・核医学)
抄録 【目的】肝細胞癌(HCC)に対する18F Fludeoxyglucose-PET(PET)が2010年4月に新たに保険収載されたが実用性の検証は不十分である。PETの治療計画に対する有用性を検討した。【方法】初発ないし再発のHCCで最近3ヶ月間治療を受けていない64症例のPET検査を解析し、原発巣検出率、FDG集積のT/N比(SUV ratio)を記録した。PETにより治療アルゴリズムに基づく推奨治療が変更されるかをretrospectiveに検討した。【成績】HCC 64例(64±12歳、男43/女21、初発6/再発58、HBV6/HCV56/PBC1/アルコール1例)を対象とした。原発巣が73%(47/64例)で検出された。検出率の内訳は、分化度別: 高分化45%(10/22例)、中~未分化88%(37/42例)、腫瘍径別: <2cm 45%(5/11例)、2~5cm 76%(26/34例)、5cm≦ 84%(16/19例)、TNM stage別: I 50%(4/8例)、II+III 72%(33/46例)、IVa+b 100%(10/10例)であった。このうちPETにて新たな肝内外の転移が28%[13/47例: 肝内4例、脈管浸潤2例、リンパ節7例、遠隔3例(重複有り)]でみられ、TNM up-stageによる推奨治療の変更があった。原発巣のSUV ratioは初再発全体にてTNM up-stage群より非up-stage群のほうが低かった(2.5±1.0対1.9±1.0; P=0.02)。ROC曲線の解析にてSUV ratioは両群を十分に鑑別でき(AUC 0.73、カットオフ値1.7)、SUV ratio 1.7以上の群は1.7未満の群よりも累積生存率が低かった(平均観察期間19.4ヶ月、P=0.01)。【結論】HCC原発巣のSUV ratioが1.7を超えている症例はPETにて高率に新たな肝内外転移が検出された。PETはTNMのre-stagingや治療法決定に際し、従来の画像を補完しうる事が示された。
索引用語 肝細胞癌, PET