セッション情報 ワークショップ16(消化器外科学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

消化器癌におけるPETの位置づけ

タイトル 外W16-9:

イマチニブ二次耐性GISTの診断におけるFDG-PETの臨床的有用性

演者 石川 卓(新潟大大学院・消化器・一般外科学)
共同演者 神田 達夫(新潟大大学院・消化器・一般外科学), 畠山 勝義(新潟大大学院・消化器・一般外科学)
抄録 【背景・目的】進行・再発GIST治療においてはイマチニブ二次耐性腫瘍の出現が臨床上の問題となるが、二次耐性獲得の判断は一般的に行われるCTでの経過観察では難しい場合がある。当科では腫瘍の機能的診断が可能であるという特徴から、FDG-PETを二次耐性腫瘍の診断の補助としてきた。本研究では GISTのイマチニブ二次耐性診断におけるPETの有用性を明らかにする。
【対象・方法】対象はイマチニブ治療中に二次耐性腫瘍出現が疑われ PET撮影を行ったGIST患者。CT等の事前検査とPETのstandardized uptake value(SUV)を総合的に評価して、二次耐性腫瘍であるかを診断した。また前向き研究としてPET撮影評価表を作成し、撮影ごとに目的達成の可否、新情報の有無、治療方針への影響、総合的有用性について記載した。
【結果】2002年12月から2010年6月の間、27名に延べ43件のPET 撮影を施行、28件(65.1%)で対象病変を二次耐性腫瘍と診断した。二次耐性腫瘍の最大SUVの中央値は早期相4.36、遅延相5.16であり、非二次耐性腫瘍の早期相2.24、遅延相2.12に比べて高かった。二次耐性腫瘍においては早期相から遅延相にかけてSUVが増加することが多く、SUV増加率は中央値17.9%であった(非二次耐性腫瘍:-6.6%)。PET撮影評価表では、「できた」29件と「不十分だができた」10件を合わせ、 90.7%で「撮影目的を達成することができた」と評価した。16件(37.2%)で「他の画像検査以上の情報が得られた」、14件(32.6%)で「治療方針に影響を与えた」とした。「有用であった」21件、「補助的検査として有用であった」17件を合わせ、88.4%で「臨床的に有用であった」と評価した。
【結語】イマチニブ二次耐性腫瘍はFDGの異常集積を伴い、早期相から遅延相にかけてFDG集積が増加することが多かった。PETはイマチニブ二次耐性腫瘍評価としては補助的な役割に留まる場合もあるが、検査目的の達成率が高く、臨床的に有用な検査と考える。
索引用語 GIST, PET