セッション情報 |
ワークショップ17(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化吸収学会合同)
小腸疾患の診断と治療
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タイトル |
消W17-1:Air CT Enteroclysis(バーチャル小腸内視鏡)
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演者 |
吉川 俊之(静岡県立総合病院・消化器内科) |
共同演者 |
鈴木 直之(静岡県立総合病院・消化器内科), 菊山 正隆(静岡県立総合病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】空気を陰性造影剤として小腸に注入し、CTを撮像し、コンピュータープログラムにより全小腸の様々な画像(3D overview、dissection view、endoluminal view、etc.)を構築することができる。我々はこれをAir CT Enteroclysis (ACE)と呼び、小腸疾患の疑われる症例に対して積極的に施行している。本法により描出可能であった種々の病変を紹介し、本検査の小腸疾患に対する有用性について考察する。【方法】2008年から2010年の間に当科にて行われた40件のACEについて検討した。うち16件については、検査中の腸管内圧を測定した。ACEの施行理由の内訳は、クローン病10例、小腸イレウス8例、小腸腫瘍疑い5例、腹部不定愁訴5例、OGIB 4例、腸重積2例、異物誤嚥1例であった。原則として経鼻経管的に小腸内に空気を注入し、64列MDCTで撮像し、バーチャル大腸内視鏡用プログラムにより画像を構築した。【成績】非狭窄症例に対して経鼻経管法で施行されたACEの全小腸描出率は84.2%(19例中16例)、描出された小腸の平均全長は544.1±87.2 (mean±SD) cm、合計送気量と最終腸管内圧は、非狭窄症例で2925±686mlと24.5±7.1cmH2O、狭窄症例で2250±980mlと25.4±6.1cmH2Oであった。狭窄(13例)、潰瘍(3例)、憩室(2例)、鼠径ヘルニア(1例)、ポリープ様病変(1例)、敷石像(1例)などの所見が得られ、最終診断はクローン病(10)、イレウス(9)、正常(6)、毛細血管拡張症(2)、クロンカイト-カナダ症候群(1)、空腸憩室(1)、鼠径ヘルニア(1)、メッケル憩室(1)、メッケル憩室内翻症(1)、悪性リンパ腫(1)、転移性小腸腫瘍(1)、単純性潰瘍(1)などであった。【結論】ACEは、(1)1回の検査で小腸の内腔を全長に渡り画像化できる(2)小腸透視と異なり腸管の重なりによる死角がない(3)病変の位置を正確に把握できる(4)狭窄部を越えた小腸の内腔像を得ることができるといった利点を有する。また、安定して良好な画像を得るためには、適切な腸管内圧を保ちながら撮像を行うことが重要と考えられた。 |
索引用語 |
Air CT Enteroclysis, バーチャル小腸内視鏡 |