セッション情報 ワークショップ17(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化吸収学会合同)

小腸疾患の診断と治療

タイトル 消W17-5:

原因不明消化管出血の診断能向上および再出血防止に向けた新たな試み

演者 橋本 真一(山口大大学院・消化器病態内科学)
共同演者 清水 建策(山口大附属病院・光学医療診療部), 坂井田 功(山口大大学院・消化器病態内科学)
抄録 【背景】原因不明の消化管出血(OGIB)に対する診断学はカプセル内視鏡(CE)およびダブルバルーン内視鏡(DBE)の導入により飛躍的に進展したが,現在でも再出血を繰り返し診断に苦慮する症例を経験する.当院では2008年より小腸を等張性緩下剤で拡張しDynamic CTを撮影するCT enteroclysis/enterography(CTE)を実施しており,日常診療における小腸検査法の一角を担っている.OGIBに対する新たな試みとしてCEとCTEを併用し診断能の向上を目指しているが,本検討ではCE・CTE併用による診断能の評価のみでなく,出血を繰り返す難治例の特性についても検討することとした.【方法】対象は2008年4月より2011年1月までにOGIBに対してCE とCTEを併用した31症例とした.CEにて出血や潰瘍を認めた場合と,CTEにて腸管内への造影剤漏出や腫瘍性病変,動静脈奇形(AVM),著明な腸管壁肥厚を認めた場合とを診断可能症例とした.また,3回以上再出血を認めたものを難治例として検討した.【結果】性別は男性13例,女性18例で平均年齢67.9歳(37-85歳)であった.CE単独での診断可能症例は10例(32.3%)であったがCTEを併用することにより16例(51.6%)まで増加した.CTE併用で診断可能となった6例の内訳はAVM3例, 腫瘍性病変1例,腸管壁肥厚2例であり腸管壁肥厚はいずれも後日DBEにて潰瘍性病変が確認された.難治例は3例(9.7%)でありAVM2例,angioectasia1例と全て血管性病変であった.AVM症例ではいずれもCTEにて明瞭に病変が描出されていた.Angioectasia症例ではCEにて病変および活動性出血が診断可能であった.【結論】本検討では出血を繰り返す難治例は全て血管性病変であり,再出血防止のためには血管性病変の正確な診断が重要と考えられた.AVMの診断に有用なCTEの併用は診断能の向上のみでなく再出血リスクの軽減につながると考えられ,OGIB診療にCTEは重要な役割を果たす可能性が示唆された.
索引用語 原因不明消化管出血, CT enteroclysis