セッション情報 ワークショップ17(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化吸収学会合同)

小腸疾患の診断と治療

タイトル 内W17-7:

クローン病に対する内視鏡的拡張術と薬物療法による手術回避の可能性

演者 本澤 有介(京都大・消化器内科)
共同演者 仲瀬 裕志(京都大・消化器内科), 千葉 勉(京都大・消化器内科)
抄録 【目的】Crohn's Disease (CD)に対する生物学的製剤や免疫調節剤の使用により腸管炎症のコントロールが可能な症例が増加しているが、一部の症例では腸管狭窄を合併し手術を余儀なくされている。近年、その狭窄に対して内視鏡的拡張術が行われるようになり患者QOLが向上している。しかしながら、拡張術を施行しているにも関わらず手術に至る症例が少なからず存在する。いずれの治療も手術回避が重要な課題であるが、これら治療の併用効果やその治療ストラテジーを検討した報告は殆どない。当院では2004年よりダブルバルーン内視鏡を導入し、CDに対する狭窄拡張術を積極的に行い薬物治療では早期より免疫調節剤等の導入を行ってきた。そこで今回我々は、CDに対する内視鏡的拡張術と薬物療法の併用による手術回避の有用性及び有効な治療ストラテジーについての検討を行った。【対象および方法】対象は2004年1月より2011年3月までに当院でCD腸管狭窄に対して施行した内視鏡的拡張症例25症例(のべ78回)。方法は短期及び長期手術回避率について検討し、さらに手術群と手術回避群との背景因子の検討を行った(観察期間中央値39ヶ月:0-85ヶ月)。初回拡張術施行時の平均年齢37.2歳(25-53歳)で、男性19人、女性6人であった。施行時平均Crohn's Disease Activity Index(CDAI)は171(31-350)であった。初回拡張術前に免疫調節剤もしくは生物学的製剤を使用していた症例は11例(44.0%)で、拡張術後に薬剤開始もしくは追加を行った症例は16例(64.0%)であった。【成績】初回拡張術の成功率は88.0%(22/25例)で、85ヶ月の長期観察期間では6症例が手術となり、累積手術回避率は55.4%であった。手術群及び手術回避群との背景因子では手術群では6症例中5症例(83.3%)で拡張前治療として生物学的製剤や免疫調節剤の投与がなされていなかった。これらの結果から薬物療法によるCDの腸管炎症の制御が拡張後の予後を左右すると推測された。【結論】内視鏡的拡張術と薬物療法の併用はCD狭窄に対する手術回避に有用である可能性が示唆された。
索引用語 クローン病, 内視鏡的拡張術