セッション情報 ワークショップ17(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化吸収学会合同)

小腸疾患の診断と治療

タイトル 消W17-9:

小腸腫瘍・腫瘍性疾患(SBT)の臨床的特徴、病変検出能、治療・予後の検討

演者 大宮 直木(名古屋大・消化器内科)
共同演者 小原 圭(名古屋大・消化器内科), 後藤 秀実(名古屋大・消化器内科)
抄録 【目的】ダブルバルーン内視鏡(DBE)、カプセル内視鏡(VCE)によりSBTの診断能、治療内容の向上が期待される。今回、SBTの臨床的特徴、病変検出能、治療・予後について検討した。【対象と方法】対象は2003年6月~2011年2月にDBEを施行した782例中、SBTを認めた166例(男/女=104/62、診断時年齢:56±18歳)。そのうちCT検査は127例、小腸X線検査は80例、VCEは105例に施行した。【結果】166例の内訳は悪性腫瘍92例(悪性リンパ腫47例、GIST15例、転移性小腸腫瘍14例、小腸癌13例、カルチノイド3例)、良性腫瘍・腫瘍性疾患74例(Peutz-Jeghers症候群18例を含む過誤腫性ポリープ29例、家族性大腸腺腫症11例含む腺腫性ポリープ14例、迷入膵7例、リンパ管腫7例、脂肪腫4例、炎症性ポリープ4例等)であった。検査契機(悪性/良性)は出血32例/18例、無症状(検査で異常指摘)29例/44例、腸閉塞15例/4例、その他腹部症状14例/8例。CT、小腸X線、VCE、DBEのSBT検出率(%;悪性/良性)は76/38、92/84、86/77、93/100で、2cm未満の検出率(%;上皮性/非上皮性)は0/27、50/64、71/82、100/98、2cm以上の検出率(%;上皮性/非上皮性)は61/94、96/94、89/79、97/93。VCEの見落としは17例で10mm以上の非上皮性SBTが9例(53%)あった。VCE滞留は小腸癌2例、悪性リンパ腫1例の3例(3%)に認められ、全例DBEにて回収した。DBE下生検診断率は88%(141/161)で、診断不能例は悪性リンパ腫8例、迷入膵3例、GIST2例、転移2例等であった。治療の内訳(のべ例数;悪性/良性)は手術50例/9例、化学療法45例/0例、DBEによる内視鏡治療8例/43例、放射線治療1例/0例。悪性腫瘍の1年・3年生存率 (観察期間中央値23ヶ月、0-80ヶ月)は予後の悪い順に転移性小腸腫瘍46%・算定不能、小腸癌85%・43%、悪性リンパ腫97%・63%、GIST100%・86%、カルチノイド100%・100%だった(Logrank,P<0.0001)。【結語】SBTの診断と治療にDBEは有効であった。VCEは滞留の危険を有するが、検出能に優れスクリーニングに有用と思われる。
索引用語 小腸腫瘍, 診断治療