セッション情報 ワークショップ18(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化吸収学会合同)

消化器疾患におけるprobioticsと機能性食品の有用性

タイトル 消W18-1:

Aspergillus oryzae NK菌麹中のprebiotics; Bifidobacterium Growth Promoting Factor (BGPF)の分離とその生物学的特性

演者 下山 克(弘前大大学院・消化器血液内科学)
共同演者 高橋 良樹(兵庫医大・地域総合医療学), 福田 眞作(弘前大大学院・消化器血液内科学)
抄録 【目的】A. oryzae NK菌麹、乳酸菌麹および酵母からなる強力わかもと(GWT)は、便秘改善効果や下痢症状緩和作用を有する。我々はGWTの便秘改善の機序として腸管内容物の単鎖脂肪酸(SCFAs)バランスの修復作用とコリン作動性収縮運動の誘発を示唆した(JDDW2008)。さらに今回、GWTの腸内SCFAs産生に影響を与える因子としてA. oryzae NK菌麹中のprebiotics活性について検討した。【方法】1) BGPFの精製;A. oryzae NK菌麹を50 mMリン酸緩衝液(pH 7.0)に懸濁し加温抽出した(37℃, 2 h)。抽出液を遠心分離し、上清液を濃縮後、DEAE Sepharose column chromatographyにてBGPF画分を分離した。BGPF画分を濃縮後、Sephadex G100 Gel filtrationによって部分精製BGPFを得た。2) 生物学的特性;種々のprebiotics (monosaccharide, oligosaccharides, lactoferrin)とのprebiotic activityを比較した。また、様々な腸内細菌種に対する選択的増殖能についても検討した。【成績】1) BGPF活性を有する2種の糖タンパク質、弱酸性タイプ(BGPF-a)と強酸性タイプ(BGPF-b)が認められ、BGPF-aがBGPF-bの約65倍のBGPF活性を有した。2) 他のprebioticsはBifidobacterium longumの増殖に最低0.1%の濃度を必要としたが、BGPF-aは0.0002%で同等の活性を示した。種々のprobioticsとpathogenに対する増殖の選択性は、Lactobacillus brevis, B. bifidum, B. breve, B. longum, L. acidophilus, L. fermentum, L. gasseriの順で高かった。【結論】A. oryzae NK菌麹にはBifidobacteria, Lactobacilliなどの増殖を促進する成分BGPFが存在する。BGPFによる腸内細菌叢の修飾に伴いSCFAバランスが変化する可能性が示された。
索引用語 SCFA, Bifidobacterium