セッション情報 ワークショップ18(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化吸収学会合同)

消化器疾患におけるprobioticsと機能性食品の有用性

タイトル 消W18-3:

乳酸菌の潰瘍性大腸炎に対する緩解維持効果:二重盲検法による検証

演者 大草 敏史(東京慈恵会医大柏病院・消化器・肝臓内科)
共同演者 内山 幹(東京慈恵会医大柏病院・消化器・肝臓内科), 小井戸 薫雄(東京慈恵会医大柏病院・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】炎症性腸疾患に対してprobioticsの有用性が注目されてきている。そこで、腸粘膜に接着性の乳酸菌として開発されたLactobacillus johnsonii La1(LC1乳酸菌)が潰瘍性大腸炎に対し、緩解維持効果があるか否かをDouble-blind Placebo-Controlled Trailにより検討した。【方法】緩解期潰瘍性大腸炎40例(平均40歳、男女比21:19)を対象として、乱数表によるくじ引きを行い、乳酸菌群にはLC1乳酸菌菌末(ネスレ日本)1×1010/3 gを、プラセボ群には乳酸菌菌末と酷似したマルトデキストリン3gを分3で内服投与とした。治験期間中は併用薬剤の増減量はせず、6カ月間投与とした。症状はLichtiger Symptom Score で評価し、score 5以下で粘血便のない状態を緩解とし、粘血便の再出現または、前scoreより3以上の上昇を再燃と定義した。内視鏡検査を治験開始前と投与6カ月後に施行し、内視鏡所見はMayo Scoreの内視鏡scoreで評価した。【結果】乳酸菌群とプラセボ群の年齢、性差、罹患年数、罹患部位、併用療法は同様であった。また、治験開始前の症状、内視鏡scoreに差はなかった。Kaplan-Meier法で検定すると乳酸菌群で有意に緩解維持率が高く(p=0.0325)、再燃が少ないという結果であった。また、内視鏡scoreでは乳酸菌群で不変が9例、低下が5例と不変・低下14例(70%)、上昇が6例であった。 プラセボ群では、不変が7例、低下が2例と不変・低下9例(45%)、上昇が11例で、乳酸菌群で不変・低下が多かった。また、投与前後のscore値のは、乳酸菌群では変化がなかったが、プラセボ群で有意な上昇が認められた(p=0.0146)。有害事象は乳酸菌群では、頭痛、めまい、腹痛が各1例、プラセボ群で腹痛、下痢、軟便が各1例であったが、いずれも軽症で、血液検査でも異常はなかった。服薬コンプライアンスは乳酸菌群で平均83%、プラセボ群で78%であった。【結語】LC1乳酸菌は、副作用もほとんどなく、潰瘍性大腸炎の緩解維持に有効であった。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 乳酸菌