セッション情報 ワークショップ18(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化吸収学会合同)

消化器疾患におけるprobioticsと機能性食品の有用性

タイトル 消W18-4:

炭水化物発酵及び胆汁酸脱抱合から見た胃切除の病態とBB536等投与による効果

演者 長谷川 範幸(国保板柳中央病院・内科)
共同演者 松本 敦史(弘前大大学院・内分泌代謝内科学), 中村 光男(弘前大・保健学科病因・病態検査学)
抄録 胃全摘や胃再建等による盲係蹄症候群の際には、慢性下痢、腹部膨満、腹痛、吐気等がある。これらの原因としては消化管運動機能低下に伴う内容物の逆流、Bacterial overgrowth(以下B.O)に伴う胆汁ミセル化障害による消化吸収不良があげられる。B.Oが存在すると、空腸での抱合胆汁酸が脱抱合され、脂肪吸収障害による慢性下痢、腹部膨満が出現し長期に及ぶと低栄養となる。我々は胃切除後の12例に対してビフィズス菌末BB536(株式会社クリニコ)を投与し、B.O及び消化吸収能、栄養状態について検討した。12例の内訳はBillroth1法6例、Billroth2法4例、全摘4例であった。栄養状態は血清アルブミン、コレステロール等を測定評価した。自覚症状の評価としてGSRSを用いた。B.Oの評価として13C-Glycocholic Acidを用いた呼気試験及び、呼気中H2ガス分析、便中水酸化脂肪排泄を測定した。B.Oは13C-Glycocholic Acid法で呼気中13CO2存在比が健常者の+1SD以上、呼気中H2ガス分析で呼気中水素ガス濃度が20ppm以上、便中水酸化脂肪酸排泄比が5%以上のいずれかを満たしたものとした。BB536投与前は、Billroth1法例では血清アルブミン値(3.8g/dl以下)、コレステロール値(140mg/dl以下)は16.6%で低下していた。B.Oについては33.3%で認められた。便中脂肪排泄量は33.3%で排泄過多(5g/day以上)を認めた。Billroth2法例では血清アルブミン値、コレステロール値は25.0%で低下していた。B.Oについては100%で認められた。胃全摘例では血清アルブミン値、コレステロール値は40%で低下していた。B.Oについては80%で認められた。便中脂肪排泄量は33.3%で排泄過多を認めた。BB536投与後ではいずれの術式例においても、血中アルブミン値、コレステロール値、GSRSが有意に改善した。BB536投与により栄養状態の改善が認められた。BB536のBacterial overgrowthに対する効果については現在検討中である。
索引用語 消化吸収, BB536