セッション情報 ワークショップ18(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化吸収学会合同)

消化器疾患におけるprobioticsと機能性食品の有用性

タイトル 消W18-6:

大腸癌術前・後における腸内環境の変化とProbiotics服用の効果について

演者 大東 誠司(聖路加国際病院・消化器・一般外科)
共同演者 須藤 一起(聖路加国際病院・消化器・一般外科), 小野寺 久(聖路加国際病院・消化器・一般外科)
抄録 【目的】)大腸癌術後では広範な腸管の切除に伴い、術後の排便機能に大きな影響が及ぶことが少なくない。今回、大腸癌の手術前・後における腸内環境の変化を検索するとともに、術後にProbioticsを服用することの意義について検討した。
【方法】1) 初発大腸癌100例を対象とし、術前処置を行う前の便および術後7日目以降の便を採取し、腸内細菌フローラ、便中有機酸、pHを測定した。細菌フローラは16s-rRNAを標的とした定量的RT-PCR法を用いて同定を行った。2) 大腸癌術後の希望者80名にProbioticsを含む腸管内環境改善薬としてザ・ガード(興和薬品)を提供し、3か月間の服用後に無記名でのアンケート調査を行った。アンケート項目はSF-36、EORTC QLQ-C30、およびWexner scoreを含む排便機能について調査した。
【成績】1) 術前・術後で著明な細菌フローラの変化を認め、術後では菌総数が有意に減少していた(術前10.3 、術後 9.1 log10 cells/g; P<0.01)。なかでも偏性嫌気性菌の減少が有意であり、菌種別の検討ではいわゆる善玉とされる細菌が多く含まれていた。一方、悪玉菌とされる通性嫌気性菌群のEnterobacteriaceaeEnterococcusStaphylococcusは増加(P<0.01)していた。また術後は便中の有機酸が減少(P<0.01)しており、なかでも酢酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸が有意に減少していた。2) Probiotics服用後では、QOLに関してはSF-36では2項目(社会生活機能、日常役割機能)、QLQ-C30では3項目(Global QOL、constipation、diarrhea)で改善(P<0.01)を認めた。また排便回数、残便感でも有意な改善(P<0.05)が認められた。
【結論】大腸癌術後には腸内の総菌数、なかでも善玉とされる細菌が減少する一方で、悪玉菌の増加、短鎖脂肪酸の減少など、腸内環境が劇的に変化していることが判明した。Probiotics服用でQOLスコアや排便機能は改善する傾向がみられたが、今後、二重盲検法での再検討を計画している。
索引用語 大腸癌術後, 腸内細菌フローラ