セッション情報 |
ワークショップ18(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化吸収学会合同)
消化器疾患におけるprobioticsと機能性食品の有用性
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タイトル |
消W18-16:梅の実摂取習慣によるH. pylori(HP)関連萎縮性胃炎進展及び上部消化管症状抑制効果
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演者 |
前北 隆雄(和歌山県立医大・2内科) |
共同演者 |
榎本 祥太郎(和歌山県立医大・2内科), 加藤 順(和歌山県立医大・2内科) |
抄録 |
【目的】HP関連萎縮性胃炎進展には、生活習慣の関連が想定される。我々は梅肉エキスのin vivoおよびin vitroでの抗HP作用を報告した。今回、無症状健常成人を対象として、梅の実摂取習慣によるHP関連萎縮性胃炎進展および上部消化管症状抑制効果に関して検討した。また、volunteer 68人を対象に胃内視鏡検査を行い、梅の実摂取習慣がHP関連胃炎の活動度に及ぼす影響を検討した。【方法】梅の実摂取習慣及びFSSGの問診と、血清抗HP抗体価と血清ペプシノーゲン値を測定した1810人を対象とした。【成績】検討1:HP除菌歴あり及び胃腸薬を内服中の319人を除いた1491人(男662:女829 34-79歳 平均57.8歳)で解析した。梅の実高摂取群(毎日1個以上摂取)(469人)と低摂取群(週4個以下摂取)(1022人)のHP感染陽性率に差はなかった。内視鏡検査を施行した68人の検討で、梅の実摂取習慣は、組織学的胃炎の活動度を低下させ、胃の萎縮性変化を軽減する事が示された。検討2:検討1対象者よりFSSGを聴取できた1473人で解析した。高摂取群(466人)では、低摂取群(1007人)よりもFSSG総スコアは有意に低かった(P= 0.004)。続いてFSSG1点以上を有症状として、高摂取群と低摂取群に占める有症状者数を検討したところ、高摂取群(252/466)に対し低摂取群(617/1007)と、有意に高摂取群のほうは有症状者数が少なかった(P=0.010)。次にFSSG12項目を酸逆流に関連する7項目と運動不全に関連する5項目で検討したところ、酸逆流に関連する有症状者数は、有意差はないが高摂取群のほうが低摂取群より少なかった。また運動不全に関連する有症状者数は、高摂取群のほうが低摂取群より有意に少なかった。このような傾向は高年層よりも非高年層においてより顕著であった。【結論】梅の実摂取習慣は、HP感染を制御し胃粘膜の炎症を抑制することにより、慢性萎縮性胃炎の進展を抑制し得る可能性がある。さらに、上部消化管症状のなかでも、特にディスペプシア症状を改善させる効果が期待できる。 |
索引用語 |
probiotics, 梅 |