セッション情報 ワークショップ19(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

大腸内視鏡挿入法の基本と工夫

タイトル 内W19-4:

コロンモデルの特性を意識した上での、大腸内視鏡挿入法習得の基礎と要点

演者 白倉 立也(松島病院・大腸肛門病センター)
共同演者 鈴木 康元(松島病院・大腸肛門病センター), 西野 晴夫(松島病院・大腸肛門病センター)
抄録 近年の大腸癌の増加に伴い、全大腸内視鏡検査(TCS)の必要性、件数は増加の一途である。当院でも年間2万件超のTCSを実施しており、日々安全・確実かつ迅速な検査が求められている。またTCSは一回限りの検査ではなく、定期的なチェック、フォローアップが推奨されるため、より苦痛の少ない、腸管への負担の少ない検査が必要とされている。
しかし数多の検査法の中でも、当検査法ほど方法論が多岐にわたる検査法は稀有であり、倫理的に人体で練習することは不可能であることから、初心者が習熟していくのが困難な検査法の一つであると言える。そのためには、初期の段階でコロンモデルを用いての予備修練が重要と考える
まず当院での挿入法としては、「二段階挿入法」(脾弯曲部を境に前半後半と分けて挿入を行う方法)の前半、特にS状結腸から脾弯曲部にかけての挿入が最大の難関と重要視している。当施設では鎮静下でのTCSを行っており、その中で私は前半の挿入法は「ループ形成解除法」と「right turn shortning technique」の2法を用いている。上記2法の選択は、S状結腸頂部(S-top)での腸管の走行状態によって決めている。S-topからSDJ以深への挿入では、腸管の走行を生かしつつなるべくパターン化した挿入へまとめるようにしている。また横行結腸以降は、脾弯曲部までの挿入で確実なストレート化と、軸を意識した挿入を行うことで、ほぼパターン化した挿入が可能となる。
ただし、これをコロンモデルで予め完全に習得することは困難である。それはコロンモデルが、生体とは柔軟性が極端に異なること、腸管外での潤滑性が乏しいこと、腹壁の進展性・柔軟性が異なることなどに起因すると考える。そこで、実際にはループ形成解除法ではなく、まず「right turn shortning technique」を優先して習得することを勧めている。
また私は、LGIルーキーリーグという研究会で、初心者向けにコロンモデルを用いた修練指導の機会を得ており、当会で用いている練習法も合わせて報告する。
索引用語 コロンモデル, 大腸内視鏡挿入法