抄録 |
直腸から盲腸までの挿入手技を積み上げていくと膨大なバリエーションが生じる.このバリエーションを最小化し,再現性を得るには2段階法によるパターン化が有効と考える.2段階法とは,挿入過程を直腸~下行結腸・横行結腸~盲腸の2段階に分けて組み立てる挿入法である.生理的にループを形成して存在するS状結腸を脾弯曲部にて直線化するまでが第1段階であり,次にこの直線化を維持して深部結腸を挿入するのが第2段階である.S状結腸は挿入手技において最もバリエーションが多い部位であり,ここでのバラつきを脾弯曲部での直線化で修正することにより,深部結腸への挿入が容易となる.【第1段階】RSからSD junctionまでスコープの右ターンを基本として主にアップアングルで管腔を拾いながら進んでいく.左に管腔が見えた場合には,深い屈曲の場合は左ターン+プルバックを行い,浅い屈曲は左アングルをかければ,次は右に管腔が展開するので基本の右ターンに戻ることができる.常に右ターンを基本にすることにより,複雑なループの形成が防止できる.また,スコープヘッドへの力の伝わりを意識して,強い屈曲部ではまめにプルバックを行うことにより,ループを最小限にすることが重要である.【S状結腸の直線化】右に見える管腔を軽い右ターンをかけながら挿入していくうちに直線化されるパターン,ループを形成しながら脾弯曲部まで挿入し大きく右ターンをかけて直線短縮化しループを解除するパターンがある.いずれにおいても 脾弯曲部でのS状結腸直線化の確認は必ず行う.残液の貯留と直線的に見通せる内腔画面により下行結腸への挿入が認識され,その後の強い屈曲部が脾弯曲部である.ここでスコープの出し入れとモニター画面の連動により直線化を確認し,体外ループの解除を行う.【第2段階】横行結腸では軽い右ターンによりS状結腸の直線化を維持しながらアングル操作で屈曲を越えていく.肝彎曲部で右アングルをかけ管腔をとらえながら,引き戻しと吸引を行い,右ターンを加えスコープを進めると上行結腸から盲腸に到達する. |