セッション情報 ワークショップ19(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

大腸内視鏡挿入法の基本と工夫

タイトル 内W19-6:

苦痛なく安全な大腸内視鏡の挿入と研修

演者 山村 冬彦(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
共同演者 大塚 和朗(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 工藤 進英(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
抄録 苦痛を最小限にとどめて短時間で盲腸まで挿入することは、大腸内視鏡検査においてもっとも基本的なことである。そこで我々は大腸の固定点を直線で結んだものを大腸の軸と呼び、内視鏡をその軸から出来るだけ、ずれないように挿入する軸保持短縮法を基本としている。Rsを左トルクで越え、その後腸管を内視鏡画面上の右に展開し、送気を最小限にしてS状結腸を極力押さずにたたみこむ。ループを作らずに短縮すれば、約25~30cmでSD junctionに達し、下行結腸への通過は容易となる。特に屈曲部においてヒダをめくるようにスコープをスライドさせ挿入していくlaterally sliding techniqueは有用である。この手技は正面の管腔との適切な距離を保ちながらヒダをめくることが重要であり、この至適距離を保つためには先端フード(wavy cap)が有用である。横行結腸は吸引で腸管を手前に縮める相対的挿入を活用し、横行結腸を十分短縮させれば肝弯曲部は右トルクで容易に通過できる。当施設ではこれに習熟するように指導している。そのイメージを掴むための練習方法としてコロンモデルは有用である。生体とは異なる部分もあるが、繰り返して練習することができ、実際の挿入と並行して行うと上達が早くなる。初めはS状結腸を簡単に設定しておいて段階的に難度を上げていく。ただし高度癒着症例など挿入困難な症例の習熟には向いていない。前投薬が必要な場合にはジアゼパム、高度癒着例に対しては塩酸ペチジンを静注して検査を行うこともある。
初級者にとっては軸保持短縮法の習得をするうえでコロンモデルの活用も有効と思われる。
索引用語 大腸内視鏡, 軸保持短縮法