セッション情報 ワークショップ19(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

大腸内視鏡挿入法の基本と工夫

タイトル 内W19-8:

腹部圧迫法を用いた軸保持短縮法によるSDjunctionの通過

演者 吉田 直久(京都府立医大・消化器内科)
共同演者 八木 信明(京都府立医大・消化器内科), 内藤 裕二(京都府立医大・消化器内科)
抄録 大腸内視鏡挿入法は,一般内視鏡医に求められる標準的技術であるが,その手法は,施設,指導医および学術書により種々である.またEMRやESDによる精密な内視鏡治療のためにはより緻密なスコープ操作が求められる.一方で検査中の痛みは大腸内視鏡検査の大きな問題の一つである.我々は以前の検討で検査中の強い痛みは12%に起き,また初回検査,女性,15分以上の挿入時間が痛みに有意に関連していることを報告した.本発表では痛みを軽減する工夫として圧迫法を併用した軸保持短縮法を中心にその実態に報告を行う.若手内視鏡医では挿入困難を感じる部位がSDjunctionまでに多く認められており,その点に重点を置き実際の挿入法を紹介する.前提として内視鏡治療にも応用できるよう挿入時にも極力左右アングルを用いることを心掛けるよう指導している.まず左側臥位で挿入を始め左ひねりにスコープを進める.RS-Sにかけて体位を仰臥位としスコープを右ひねりにし,できるかぎり管腔を右下にセットするように腸管をコントロールしながら挿入を行う.Sトップでたわみが生じるが,5分までは軸保持短縮法を試みることとしており適宜2種類の腹部圧迫法を併用する.一つはスコープをおさえることで腸管に近づけるものであり,もう一つは腸管をおさえることでスコープに近づけるものである.圧迫法は術者が左手のスコープの操作部を検査台において自らの左手を用いてスコープと腸管屈曲部の距離が近接するように圧迫の強さおよび場所を介助者に指示することとしている.こうすることでより緻密な圧迫が可能となる.また効果的腹部圧迫のイメージづくりのために大腸挿入モデル(オリンパス)を用いて腹腔内でのスコープおよび腸管の状態をみながら圧迫法のトレーニングを行っている.
索引用語 大腸内視鏡, 挿入法