セッション情報 シンポジウム18(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

食道表在癌、早期胃癌に対するESDの長期予後

タイトル 消S18-4:

早期胃癌に対するESDの長期予後

演者 小坂 崇(岩手医大・消化器・肝臓内科)
共同演者 鈴木 一幸(岩手医大・消化器・肝臓内科), 菅井 有(岩手医大・分子診断病理学)
抄録 (目的)当科における早期胃癌ESD症例の長期予後について明らかにする.(方法)2002年より2012年2月までにESDを施行した1266例,1639病変中,術後5年以上経過した443例,538病変(男性322例,女性121例.平均年齢69.2歳)を対象とした.追跡捕捉率は97.3%であった.術後病理組織診断(tub1:476, tub2:48, por, sig:11, pap:3, 混在癌:18).深達度(M:483, SM1:26, SM2:28, 評価不能:1).適応カテゴリー(適応:376, 適応拡大:116, 適応外:44, 前医再発:2).検討項目(局所遺残再発,リンパ節転移,遠隔再発,異時性多発癌, 異時性他臓器癌, 生存率).(成績)1.局所遺残再発5例,0.9%に認めた.うち4例が再ESDにて治癒切除を得られ1例に手術を施行した.2.3ESD後40例に外科手術を施行した.初回治療後の病理診断で適応外となった症例および経過観察後に手術が必要となった症例にリンパ節,遠隔転移例はなかった. 4.異時異所再発は10.2%.57病変にESDを施行し54病変,94.7%に治癒切除が得られた.再ESD後,非治癒判定で4例に手術を施行した.3例は異所癌が低分化であり2例に手術を施行.1例は診断時,進行癌で胃癌死した. 5, 6.5年生存率は85.9%でESD治療部位関連胃癌死は認めなかった.死亡例のうち29.7%は他臓器悪性疾患が死因であった.カテゴリー別5年生存率は初回治療適応病変が83.3%,適応拡大85.5%, 適応外93.0%(但しESD後67.4%で手術が施行され,経過観察は11例.)(結論)早期胃癌に対するESDに短期成績に関しては既に証明され,特に適応拡大病変に対する長期成績を明らかにすることが課題であった.自験例を基にした5年以上経過例の検討により現行の治癒基準を満たす症例に関し,適応病変・拡大病変ともに局所再発や遠隔転移例は認めなかった.異時性多発癌は10%に認めFollow upの重要性が考えられた.治癒判定基準を満たす早期胃癌に対するESDは有用であり第一選択の治療法と考える.
索引用語 早期胃癌, ESD