セッション情報 | ワークショップ19(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)大腸内視鏡挿入法の基本と工夫 |
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タイトル | 消W19-11:大腸内視鏡挿入における先端透明フード装着の有用性-腫瘍性病変拾い上げ診断に関する無作為化比較試験の結果から- |
演者 | 竹内 洋司(大阪府立成人病センター・消化管内科) |
共同演者 | 花房 正雄(大阪府立成人病センター・消化管内科), 東野 晃治(大阪府立成人病センター・消化管内科) |
抄録 | 【背景】先端透明フード(TH)を内視鏡に装着することは,ひだに隠れるような病変の発見能の向上に寄与すると同時に,挿入時の難易度の低減に寄与することが期待されている. 【目的】大腸内視鏡挿入における先端透明フード装着の有用性を評価する. 【方法】当院では,腫瘍性病変拾い上げ診断に関して観察法[白色光観察(WLI),自家蛍光観察(AFI)]とTH装着の有無によって2×2のfactorial designとした4群(WLI群,WLI+TH群,AFI群,AFI+TH群)の無作為化比較試験を行った(Gastrointest Endosc 2010;72:1006-13).対象は腹部手術歴のない大腸内視鏡検査をうける患者(便潜血検査陽性の精査,もしくはポリペクトミー後のサーベイランス目的)で,書面での同意を得た上で割付を行い, 8名の内視鏡医(大腸内視鏡経験1000例未満 4名,1000例以上4名)が全結腸内視鏡検査を行った.内視鏡は全例でOlympus社製CF-FH260AZIを用い,THは同社製D-201-16403を用いた.本臨床試験において,TH装着の有無による挿入時間の違いを比較した (IRB承認, UMIN000001473). 【成績】561名が割り付けられ,背景因子(年齢,性別,検査目的,洗腸状態,施行した内視鏡医,盲腸到達割合)に差はなかった.TH装着群での平均挿入時間[95%信頼区間]は8.3[7.6,9.0]分であり,TH非装着群での10.4[9.7, 11.1]分よりも短かった(p<0.0001,t検定).また観察時間は.TH装着群で12.8[12.1, 13.5]分,TH非装着群で12.1[11.4, 12.8]分で,2群間に差は認めなかった(p=0.13,t検定).なお,主要評価項目であったAFI+TH群の一人あたりの大腸腫瘍発見割合は1.96[1.50,2.42]で,WLI群の1.19[0.93,1.44]に比べて高く (p=0.023,Turkey-Kramerの多重比較),Poisson回帰分析を用いた解析では大腸腫瘍全体の発見割合はTHを装着することにより1.45[1.18-1.77, p<0.0001]倍向上していた. 【結論】先端透明フード装着により大腸腫瘍性病変の発見能は向上し,大腸内視鏡挿入時間は短縮される. |
索引用語 | 大腸内視鏡, 先端透明フード |