セッション情報 ワークショップ20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

咽頭癌と食道癌の効率的な観察法≪ビデオ≫≪アンサーパッド≫

タイトル 内W20-1:

咽頭観察のための内視鏡検査前うがい

演者 飯塚 敏郎(虎の門病院・消化器科)
共同演者 菊池 大輔(虎の門病院・消化器科), 貝瀬 満(虎の門病院・消化器科)
抄録 【目的】咽頭の観察時は嚥下反射を誘発しやすく、被験者は苦痛を自覚することが多い。一方で施行者は観察方法が定まっておらず、表在癌でも見落とされるケースが見られる。この要因の一つとして口腔内の唾液が多いことが挙げられる。つまり吸引することで反射を誘発したり、観察時間が長くなることで苦痛を感じさせて、結果として十分な観察が行えなくなってしまうと考えられた。そこで唾液除去の目的で検査直前にガスコン水によるうがいを行うことで十分な観察を行うことが可能かどうか検証した。【方法】2010年11月から2011年3月までの間に内視鏡検査を受診した症例のうち、食道癌治療歴を有する(ESD、手術、放射線治療など)もしくは咽頭のESD歴を有する115例を対象とした。検査直前にガスコン水でうがいをする群(U群)58例とうがいを行わない群(N群)57例にランダムに分け、観察方法を一定としてその観察時間(内視鏡挿入から食道内にスコープ挿入までの時間)を計測し比較検討した。撮影部位は両群とも中咽頭から下咽頭まで撮影場所を設定し、少なくとも12か所(軟口蓋・左右の口蓋弓・中咽頭後壁・左右の中咽頭側壁・喉頭蓋・喉頭蓋谷・下咽頭後壁・左右の梨状陥凹・声帯と披裂部)を撮影することとした。【結果】U群では、グルカゴン使用例が12例、鎮静剤使用例が5例、食道癌治療歴を有する症例が54例、咽頭ESD後が15例(重複あり)であった。検査中反射を起こした症例が12例、咽頭になんらかの病変を指摘したのは2例であった。観察時間は平均181秒、反射を起こした症例を除くと平均171秒であった。一方N群では、グルカゴン:3例、鎮静剤:6例、食道癌治療歴:54例、咽頭ESD後:15例(重複あり)、検査中反射を起こした症例:14例、咽頭になんらかの病変を指摘したのは1例であった。観察時間は平均169秒、反射を起こした症例を除くと平均156秒であった。【結論】今回2群間の観察時間に有意差は認められなかったが、実際の観察時の印象としてはU群において観察がやりやすいといった感触が得られた。
索引用語 咽頭観察, うがい