セッション情報 ワークショップ20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

咽頭癌と食道癌の効率的な観察法≪ビデオ≫≪アンサーパッド≫

タイトル 内W20-2:

当院における咽頭観察の前処置の工夫

演者 千葉 秀幸(NTT東日本関東病院・消化器内科)
共同演者 大圃 研(NTT東日本関東病院・消化器内科), 松橋 信行(NTT東日本関東病院・消化器内科)
抄録 【目的】近年咽頭領域にも多数の表在癌が報告されているが咽頭観察の前処置は一定のものがない.唾液を吸引することにより咽頭反射を惹起し観察そのものが困難となることも経験される.今回,簡便で有効な前処置を検討した.【方法】対象は当院で鎮静剤(フルニトラゼパム)を用い上部消化管内視鏡を受けた58人(鎮痙剤使用なし).方法はH260(Olympus)のNBIモード(Bモード,オート,構造3色調2)で挿入時に観察し,唾液は吸引せずに以下の点数をつけた.1点(観察困難),2点(粘液・小泡が多く観察に支障をきたす),3点(粘液・小泡が残存しているが観察に支障をきたさない),4点(視野良好)とした.前処置方法は,N群:前処置なし,U群:検査直前に水でうがいする群,S群:水を飲み込む群と3群に分類した.評価方法は癌の好発部位とされる中下咽頭後壁,左右梨状窩の2領域について3枚以上の写真を前処置方法をしらない医師4人で領域別に点数をつけその平均点を比較検討した.【成績】全対象の背景は年齢28~78歳(median37歳),性別(男41/女17),常習飲酒家4例,常習喫煙家4例であった.症例数はN群17例,U群9例,S群17例となり各群で背景に有意差はなかった.後壁はN:U:S=2.0点:1.9点:2.7点であった.左右梨状窩はN:U:S=2.0点:1.9点:3.0点で,両領域でS群がN群,U群と比べ有意に高点数であった(Tukey検定).以上よりうがいより飲み込む方が視野良好となる可能性が考えられたが,これはうがいにより余分な小泡が出ること,またうがいでは下咽頭の洗浄効果が不十分となる可能性が推察された.また追加検討として,水を飲み込む群17例(S群)と,水にガスコンを混ぜた群15例(S-G群)の洗浄効果を比較した(t検定).患者背景には有意差はなかった.後壁はS:S-G=2.7点:2.9点、左右梨状窩はS:S-G=3.0点:3.2点であり有意差は認めなかったがガスコン群で点数が高い傾向にあった.【結論】咽頭領域の観察は水もしくはガスコン水を,検査の直前に飲み込むことで唾液吸引も最小限にすることが可能となり,クリアな視野と検査ストレスの軽減が得られ早期癌の発見に寄与する可能性が示唆された.
索引用語 咽頭癌, 前処置