セッション情報 ワークショップ20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

咽頭癌と食道癌の効率的な観察法≪ビデオ≫≪アンサーパッド≫

タイトル 内W20-5:

中下咽頭病変の内視鏡診断・治療における視野展開

演者 細谷 寿久(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
共同演者 井上 晴洋(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 工藤 進英(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
抄録 当センターでは、2001年4月から2011年2月までに、44症例53病変の咽頭病変の治療を施行している。病変の内訳は、Low Grade Intraepithelial Neoplasia:12、High Grade Intraepithelial Neoplasiaを含む扁平上皮癌:32、乳頭腫:2、その他:7病変であった。また治療方針の内訳は、生検:13、EMR-C:17、ESD:22、その他:1件であった。スクリーニングなどで認めた中下咽頭病変の診断と治療について、当院での現状を報告する。
精査では、深鎮静を塩酸ペチヂンとミタゾラムで行い、鎮痙剤としてのブチルスコポラミン投与を基本としている。拡大スコープ(Olympus GIF-H260Z)にディスポーザブル先端アタッチメントを装着しNBIモードで観察を始める。軽度の拡大を調節しながら上咽頭、喉頭に続き、中咽頭を左、後、右壁、喉頭蓋をまたいでの前壁を観察する。下咽頭は左梨状窩からゆっくり頚部食道まで挿入後、中咽頭まで戻り再度右梨状窩から挿入する。下咽頭と頚部食道の境界は輪状ひだを目安とし、左梨状窩を通過する際はスコープを右トルクで、右梨状窩は左トルクで、挿気をしながら挿入する。Brownish areaを指標に観察し、病変を認めた場合はNBI拡大観察で食道病変と同様にIPCL分類での診断を行う。
治療については、腫瘍径が1、2mm程度の病変であれば生検で完全切除が可能であるが、大きい病変では全身麻酔下でのEMR-C、ESDの適応としている。特に下咽頭の内視鏡治療に際しては、彎曲型咽喉頭直達鏡(大森、佐藤ら)を用いた喉頭展開は下咽頭全周の観察が可能で良好な視野を確保できる。粘膜下組織が疎であり、筋層も併せて膨隆しやすいため、局注を慎重に行い、炭酸ガス挿気での処置を行っている。
咽頭の早期癌は、食道癌同様のNBI拡大観察が有用であり、上部消化管内視鏡検査の際の早期発見により、従来よりも低侵襲な治療が可能であるため、今後の診断・治療の確立が望まれる。
索引用語 咽頭癌, IPCL分類