セッション情報 ワークショップ20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

咽頭癌と食道癌の効率的な観察法≪ビデオ≫≪アンサーパッド≫

タイトル 内W20-6:

他臓器癌担癌、既往症例に対する早期食道癌ヨード染色スクリーニング

演者 清水 勇一(北海道大大学院・消化器内科学)
共同演者 加藤 元嗣(北海道大病院・光学医療診療部), 浅香 正博(北海道大大学院・消化器内科学)
抄録 【背景】食道癌スクリーニングにおけるgold standardは、現在においても内視鏡下ヨード染色であるが、その刺激性のため、全ての被検者への施行は現実的ではなく、ハイリスクグループの設定が必要である。食道癌の疫学としては、中高年の男性に好発することのほかに、重複癌の高頻度(30%前後)の合併が報告されている。これらより、中高年男性の他臓器癌合併、既往例は酒、タバコ、食事や、他の環境的、遺伝子的な共通の危険因子による食道癌のハイリスクグループであると考え、スクリーニング研究を行った。【方法】過去3年間に内視鏡スクリーニングが行われた患者のうち、他臓器癌担癌、もしくは既往を持つ55歳以上の男性331例を対象とした。他臓器癌の内訳は、胃癌138例、大腸癌106例、頭頚部癌51例、肺癌32例、その他19例であった。また、対照群として同期間に内視鏡スクリーニングが行われた患者のうち、55歳以上の常習喫煙歴、および飲酒歴を有する男性291例に対しても、ヨード染色を行った。【結果】331例中9例(2.7%)に食道表在癌が発見された。これら9例の他臓器癌の内訳は、胃癌3例、頭頚部癌3例、大腸癌2例、肺癌1例であった。対照群291例については食道癌が発見されたのは1例(0.34%)であった。他臓器癌担癌、既往症例における食道表在癌発見率は対照群に比べて有意に高値であった(p = 0.042)。【考察、結論】今回のスクリーニング研究では、既に食道癌のハイリスクグループとして認められている常習喫煙飲酒例よりも他臓器癌担癌、既往例の食道表在癌発見率は有意に高値であり、また、高頻度に食道癌を合併することが知られている頭頚部癌患者を除外した場合でも、食道表在癌発見率は2.1%(6/280)であった。これらの成績より、他臓器癌、特に胃癌、大腸癌の担癌、および既往を有する男性患者に対しては、内視鏡下ヨード染色による食道癌スクリーニングが望ましいと考えられた。今後は、感度、被検者の苦痛に関して、NBIとの比較研究が必要と思われる。
索引用語 食道癌, スクリーニング