セッション情報 ワークショップ20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

咽頭癌と食道癌の効率的な観察法≪ビデオ≫≪アンサーパッド≫

タイトル 内W20-7:

当科における食道表在癌見逃し病変の検討

演者 橋本 哲(新潟大医歯学総合病院・光学医療診療部)
共同演者 竹内 学(新潟大医歯学総合病院・3内科), 小林 正明(新潟大医歯学総合病院・光学医療診療部)
抄録 【目的】近年NBIなど新しいモダリティを用いることで、食道癌は発見しやすくなったが、見逃される病変も少なくない。今回、当科で見逃された病変の特徴および見逃しの原因を検討し、食道観察の注意点を明らかにすることを目的とした。
【方法】2008-2010年にESDを施行した食道表在癌195症例(234病変)のうち、当科で見逃された11症例(12病変)を対象とした。平均年齢:68.2歳、性別:すべて男性。観察手順:挿入時に白色光、抜去時にNBIで観察。使用スコープ:制限なし。見逃し病変の定義:年1回経過観察中に発見された大きさ10mm以上の病変またはESD6ヵ月後以内に発見された病変。病変が過去の観察で撮影されていないA群と見直しで病変を同定できるが術者が認識できなかったB群に分け、治療時の内視鏡、組織所見を比較検討した。
【結果】A群(7病変):局在:Ut/Mt/Lt 1/2/4、前/右/後/左 3/2/1/1。肉眼型:IIb/IIc 4/3。平均長軸径:15.0mm。深達度:EP/LPM/MM 4/1/2。病変境界(白色光):明瞭/不明瞭 3/4。IPCL pattern(井上分類):Type IV/V-1/V-2 3/2/2。見逃し原因:病変が観察困難部位(接線方向の観察となる前・右壁や壁外圧排の死角)に多い。B群(5病変):局在:Ut/Mt/Lt 1/3/1、前/右/後/左 2/2/0/1。肉眼型:IIb/IIc+IIa 4/1。平均長軸径:22.4mm。深達度:EP/LPM/SM1 3/1/1。病変境界(白色光):明瞭/不明瞭 0/5。IPCL pattern:Type IV/V-2 4/1。見逃し原因:周囲との境界が不明瞭。NBIでもIPCL patternはType IVが多く、淡いbrownish area (BA)となり発見が難しい。
【結論】病変の見逃しを防ぐためには、接線方向の観察となる前・右壁や壁外圧排の死角に注目し、NBIを併用し淡いBAに留意して観察することが重要である。
索引用語 食道表在癌, 観察法