セッション情報 |
ワークショップ20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
咽頭癌と食道癌の効率的な観察法≪ビデオ≫≪アンサーパッド≫
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タイトル |
内W20-9:食道癌スクリーニング検査におけるNBI非拡大観察の位置づけ-前向き試験の結果から-
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演者 |
永見 康明(大阪市立大大学院・消化器内科学) |
共同演者 |
町田 浩久(大阪市立大大学院・消化器内科学), 富永 和作(大阪市立大大学院・消化器内科学) |
抄録 |
【背景と目的】上部消化管スクリーニングにおける食道癌拾い上げ診断は白色光観察(WLI)やヨード染色により行われてきたが、WLIでは診断が困難なことやヨード刺激性などが課題であった。近年、Narrow band imaging(NBI)が開発され、食道癌の質的、深達度診断に有用性が報告されているが、スクリーニング検査で多用される非拡大観察での報告や、ヨード染色法との比較検討は少ない。今回、我々は食道癌のスクリーニング検査におけるNBI非拡大観察の有用性を前向きに検討した。【対象と方法】頭頚部癌または食道癌内視鏡治療後の症例で上部消化管スクリーニングを施行するものを対象とした。方法は、全食道を1)白色光観察、2)NBIでBrownish area (BA)の有無、3)ヨード染色でヨード不染帯とPink color sign(PCS)の有無を評価し、各観察法での所見を記録した。有所見部を生検または内視鏡治療を施行し病理組織学的検討を行った。主要評価項目を食道癌に対するNBI非拡大観察の精度とし、副次評価項目としてヨード染色の精度と比較検討した。【成績】2008年6月から2011年1月の間に202例の登録があり、その内訳は頭頸部癌/食道癌治療後/両者:120/ 78/ 4(例)、平均年齢67.4歳、男女比9:1であった。病理診断で31病変が食道癌と診断された。食道癌診断における感度は白色光/BA/ヨード不染/PCS 74.2/ 90.3/ 100/ 96.8(%)、特異度は各々87.8/ 74.4/ 2.4/ 90.2(%)であった。BAを指摘できなかった病変は3例あり、全て上部食道の0-IIb病変で、2例は同時多発癌であった。【結論】NBI非拡大観察はその感度がWLIより優れ、ヨード染色法とは有意差がなく(p=0.08)、食道癌のスクリーニングに有用と考えられた。一方、特異度はヨード染色法より優れていることから(p<0.01)、ヨード染色による負担を軽減できる可能性がある。またPCSの特異度には及ばなかった(p<0.01)ため、NBI非拡大観察で拾い上げたBA周囲にヨードを撒布しPCSを確認することで、より効率的なスクリーニングが行えるものと考えられた。 |
索引用語 |
NBI, 食道癌 |