セッション情報 ワークショップ20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

咽頭癌と食道癌の効率的な観察法≪ビデオ≫≪アンサーパッド≫

タイトル 内W20-11:

口腔・咽喉頭・食道扁平上皮領域における経鼻内視鏡+FICEによる表在癌拾い上げ診断

演者 川田 研郎(東京医歯大・食道・胃外科)
共同演者 河野 辰幸(東京医歯大・食道・胃外科), 中島 康晃(東京医歯大・食道・胃外科)
抄録 背景)Image Enhanced Endoscopyの登場により,咽喉頭・食道領域での早期癌の発見が容易になった。教室では主に食道癌治療前後のスクリーニングに2003年5月より咽頭反射の少ない経鼻内視鏡を導入しており,年々機器の改良により画質も向上している.目的)2009年10月より画角が140度でFICEを標準搭載した広角経鼻内視鏡(EG-530NW)を使用し,ハイリスク症例には口腔・咽喉頭・食道の扁平上皮領域の重点的観察を行っている.方法)「息を大きく吸った後,息を出来るだけ吐き続けて両頬を可能な限り膨らませます」と検者がValsalva法の実際を見せながら事前に練習させる.左側臥位,スニッフィングポジションとする.マウスピースは省略し,まず経口的に挿入,「アー」と発声させて口腔内を観察する.ついで鼻から挿入,上咽頭後壁,口蓋弓背面,口蓋垂背面を観察後、中下咽頭喉頭へ進める.喉頭蓋谷,舌根部を観察,左右梨状陥凹,喉頭を発声しながら観察する.さらにここでValsalva法を行うと下咽頭輪状後部と対側の後壁の接着が解除され,唾液が糸を引くようにして喉頭が挙上される.この空間にスコープを滑り込ませると左右の梨状陥凹から輪状後部,食道入口部を連続的に観察できる.領域性のある異常があれば拡大内視鏡を用いた精密検査,または生検を行う.食道は,送気にて良く伸展させ,ゆっくりとスコープを進め,FICEはAdvancia設定0と5を用いて,領域性のある異常があれば近接し,おぼろげながらに観察されるdot状血管を頼りとする.また,異常があると判断されれば,スコープ抜去時に0.2%ヨード撒布40ml+FICE設定8を用いて診断の補助としている.結果)FICE+経鼻内視鏡導入以降,2008~2010年の3年間で,経鼻内視鏡にて口腔・咽喉頭表在癌24例26病変,食道表在癌38例43病変を拾いあげた.口腔底,頬粘膜,歯槽, 食道入口部に近い下咽頭後壁など,これまで十分に観察していなかった領域でも表在癌を拾い上げた.結語)教室における経鼻内視鏡とFICEの臨床応用の実際を報告する.
索引用語 経鼻内視鏡, Valsalva法