セッション情報 シンポジウム18(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

食道表在癌、早期胃癌に対するESDの長期予後

タイトル 内S18-6:

早期胃癌に対するESDの長期予後

演者 阿部 清一郎(国立がん研究センター中央病院・消化管内視鏡科)
共同演者 鈴木 晴久(国立がん研究センター中央病院・消化管内視鏡科), 小田 一郎(国立がん研究センター中央病院・消化管内視鏡科)
抄録 【目的】近年早期胃癌に対するESD技術の確立、転移リスクの検討により、大きな病変や潰瘍を有する病変、未分化型癌に対しても内視鏡治療の適応が拡大されている。本検討では早期胃癌に対するESDの長期成績を明らかにする。
【方法】1999年から2006年までの間、術前に絶対適応または適応拡大基準を満たしESDを施行した早期胃癌のうち、残胃、胃管病変を除いた1956症例(男性/女性:1518/438、年齢中央値:67(29-93)歳)、2210病変を対象とした。対象の短期成績(一括切除率、一括断端陰性切除率、治癒切除率、合併症)と長期成績(異時性多発癌、局所再発、リンパ節・遠隔再発、5年全生存率)を検討した。長期成績の収集は、当院追跡1768例は診療録より、当院非追跡188例は紹介施設への調査と住民票照会より2011年6月から2012年2月の間に行った。
【成績】術前診断は絶対適応(cG)病変/分化型適応拡大(cD)病変/未分化型適応拡大(cU)病変=1277/858/75であった。短期成績は一括切除率97.8%(cG病変:98.1%、cD病変:97.2%、cU病変:98.7%)、一括断端陰性切除率92.9%(cG病変:95.4%、cD病変:89.5%、cU病変:90.7%)、治癒切除率79.5%(cG病変:87.6%、cD病変:69.2%、cU病変:60.0%)、合併症:輸血を要した後出血の割合0.2%、穿孔率3.1%、遅発性穿孔率0.05%であった。長期成績は5年以上の追跡率92.2%、観察期間中央値 70.3(0-147)ヵ月で異時性多発胃癌220例(11.2%)、治癒切除後の局所再発/リンパ節・遠隔転移再発は1例(分化型SM1適応拡大治癒)/6例(分化型SM1適応拡大治癒2例、異時性多発胃癌4例)であった。5年全生存率は絶対適応治癒(769例):92.7%、分化型適応拡大治癒(714例):92.1%、未分化型適応拡大治癒(41例):92.3%、非治癒追加外科手術(225例):94.0%、非治癒経過観察(207例):83.8%で、胃癌死は16例(非治癒12例、異時性多発胃癌4例)であった。
【結論】ESDは適応拡大病変を含め、根治性が高い治療法であった。
索引用語 早期胃癌, ESD